国際結婚

【オーバーステイの外国人の配偶者ビザ申請】在留特別許可も解説

日本に滞在している外国人と恋に落ち、結婚を目前に控えたところで、外国人パートナーがオーバーステイ(不法残留)しているという事実を知ることになる・・・。

こういうケース、意外と多いんです。

この記事では、外国人パートナーがオーバーステイをしている場合の配偶者ビザ申請はどうなるのか、在留特別許可という制度も含めてわかりやすく解説していきます。

この記事を読むとわかること

・オーバーステイの外国人が日本で暮らすための方法

・出国命令制度について

・退去強制について

・在留特別許可について

オーバーステイの外国人は配偶者ビザの申請は可能か

オーバーステイとは、在留資格で決められた在留期間を超えて、不法に日本に滞在している状態(不法残留)のことを言います。

結論、オーバーステイ状態の外国人は、一般的な方法で配偶者ビザ申請をすることができません。

しかし、オーバーステイだからといってあきらめる必要はありません。

オーバーステイ状態の外国人が日本で暮らす方法は二つあります。

①一度帰国をして、改めて配偶者ビザを申請する

②在留特別許可を申請し、許可を得て適法に日本に滞在する

どちらの方法をとるにしても、通常の配偶者ビザ申請に比べて難易度が上がることは間違いありません。

特に、在留特別許可を得るのはハードルがかなり高いです。

以下の章では、それぞれの方法について詳しく深掘りしていきます。

一度帰国した後、改めて配偶者ビザの申請を行う

この方法では、オーバーステイ状態の外国人が自ら出入国在留管理局へ出頭し、不法残留であることを申告します。

出国命令制度の適用を希望する場合、平日の執務時間内に、以下の出入国在留管理局へ出頭します。

地方出入国在留管理局(札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,高松,福岡)又は3か所の地方出入国在留管理局支局(横浜,神戸,那覇)

オーバーステイ状態の外国人が自ら出頭した場合は、出国命令によって帰国することになります。

出国命令によって帰国した場合、1年間は上記陸拒否となり、原則1年間は日本へ入国することができません。

したがって、このケースでは上陸拒否期間の1年が経過した後、改めて在留資格認定証明書交付申請を入管へ行うことになります。

出国命令制度

不法残留している外国人が自主的に入管へ出頭する場合、収容施設に収容することなく、簡易な手続きで出国させる制度(入管法第24条の3、55条の2,3)

上陸拒否期間:1年

退去強制を受けた場合

退去強制に該当するケースは、入管へ出頭しても出国命令制度は適用されず、退去強制として帰国させられることになります。

1度目の退去強制を受けた場合、上陸拒否期間として5年間は日本に入国することはできません。

また、2度目以降の退去強制(オーバーステイ)は10年間入国することができなくなってしまいます。

このように、

退去強制手続きを受けた場合は長期にわたって再入国が許されなくなってしまう=(最低でも日本では)パートナーと長期間会えなくなってしまう

という厳しい現実があります。

このケースでは後述の在留特別許可も検討してもよいかもしれません。

いずれにしても、このような判断はとても難しいため、行政書士などの専門家に一度相談することをオススメします。

退去強制

在留資格なく日本に在留している場合や、在留資格外の活動を行っている場合、一定の有罪判決を受けた場合、売春関係の業務に従事した場合などは、所定の手続きにより退去を強制させられることになる(入管法第24条)

上陸拒否期間:1回目の退去強制 5年

上陸拒否期間:2回目 10年

上陸拒否期間:1年以上の懲役もしくは禁固またはこれらに相当する刑に処されたことのある者 永久上陸拒否

上陸拒否期間経過後の申請

出国命令の場合は1年間、退去強制の場合は5年間(場合によっては10年間)の上陸拒否期間経過後は、通常と同様に入管へ配偶者ビザの申請を行います。

※ここでいう「配偶者ビザの申請」は、在留資格認定証明書交付申請です。

とはいえ、過去に出国命令や退去強制歴がある場合の申請は、そうでない場合に比べて厳しく審査されることが多いでしょう。

一度帰国した後に再申請するポイントとしては、以前のオーバーステイについての経緯や反省を詳細に記載した文書を提出するとよいです。

・オーバーステイの経緯を詳細に記載した申請理由書

・反省文

・嘆願書

ケースバイケースですが、これらの書類を積極的に提出することで、審査官の印象をプラスに持っていけるとよいでしょう。

在留特別許可を申請する

オーバーステイ状態の外国人が日本で暮らす方法の2つ目は在留特別許可を得ることです。ここでは在留特別許可について深掘りしていきます。

在留特別許可とは

基本的に、日本に不法滞在する外国人は、退去強制手続き(もしくは出国命令)を受けることになります。

しかし、個々の様々な事情から、法務大臣が「特別に」在留を認めた場合に限り、不法滞在の状態が解消され、適法に日本で滞在することができるのが在留特別許可です。

なお、もちろんですが、出入国在留管理局へ出頭して不法残留を申告しただけでは違法状態が解消されるわけではありません。

法務大臣から在留が認められてはじめて違法状態が解消されることになります。

在留特別許可が見認められない場合は、強制的に本国へ送還されることになります

在留特別許可の流れ

引用元:出入国在留管理庁

在留特別許可の手続きの流れとしては、出入国管理庁が公開している上の画像の通りです。

入管側としても慎重な調査が必要となるため、結果が出るまでは長期間要することを覚悟しておいた方がよいでしょう。

場合によっては1年以上かかるケースもあります。

また、在留特別許可を受けるまでの間は、就労することが認められていませんので注意が必要です。

在留特別許可のガイドライン

出入国在留管理庁は、在留特別許可にかかるガイドライン(大まかな指針)を公開しています。

ガイドラインには、在留特別許可の許否判断を行うに当たってのプラスになる要素と、マイナスになる要素を公開しています。

以下、それぞれ一例を紹介します。

プラス要素(積極要素)

・日本人または特別永住者と婚姻が法的に成立していることに加えて、相当期間共同生活をし、子供がいるなど婚姻が安定かつ成熟している

・実子を扶養している

・初等・中等教育機関に在学している実子と同居し、養育している

マイナス要素(消極要素)

・重大犯罪により刑に処されたことがある

・出入国管理行政の根幹にかかわる違反や反社会性の高い違反をしている

(例)不法就労助長罪、集団密航に係る罪、売春、売春あっせんなど

・犯罪組織の構成員である

在留特別許可の許否については、上記のプラス要素とマイナス要素がそれぞれ評価、勘案されたうえで判断されることになります。

その他、このプラス要素とマイナス要素についてはガイドラインでより詳しく説明がありますので、詳細はこちらを参照ください。

在留特別許可の事例、不許可の事例

出入国在留管理庁は、在留特別許可された事例とされなかった事例について、毎年公表しています。

それぞれのケースの違反内容から、在日期間や婚姻期間、子供の有無など、詳しく掲載されています。

どのようなケースが許可になるのか参考にするうえでも貴重な情報源になるはずです。

必要な方は以下リンクからご覧ください。

在留特別許可された事例及び在留特別許可されたかった事例について(令和2年)

在留特別許可の提出書類一例

在留特別許可を申請する際の必要書類は、配偶者ビザ申請などに比べても格段に提出書類が多くなります。

ただ単に入管から要求された書類を提出するのみではなく、どのような書類を提出すれば自らの申請を有利に運ぶことができるかを考えて書類を収集・作成する必要があります。

以下、在留特別許可で必要となる書類の一例を挙げてみました。

<在留特別許可必要書類一例>

・在留特別許可願出書

・反省文

・嘆願書

・陳述書

・申告書

・証明写真

・旧在留カードの写し

・パスポートの写し

・質問書

・スナップ写真

・戸籍謄本

・住民票

・身元保証書

・在職証明書

・健康保険証写し

・履歴書

・源泉徴収票

・課税証明書

・納税証明書

・最寄駅から自宅までの地図

・預貯金通帳の写し

・賃貸契約書 or 不動産登記事項証明書

etc…

実際、個々のケースごとにどの書類が必要かということは、初心者の方では極めて判断が難しいです。

仮にイチかバチかで申請をしたところで、万が一不許可の場合は強制送還が待っており、しまいには長期間日本に入国することができなくなる恐れもあります。

あなたがもしも在留特別許可の申請を検討しているというのであれば、必ず一度行政書士などの専門家に相談することをオススメします。

まとめ

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この記事ではオーバーステイの外国人と結婚した場合にすべき対応方法や、在留特別許可について詳しく解説してきたけど、参考になったかな?

記事内でも書きましたが、オーバーステイ歴がある外国人の方の申請や、在留特別許可はまったくもって簡単な申請ではありません。

確かに専門家に依頼するとそれなりの料金は掛かってきてしまいます。

しかし、今後の人生がかかってくる申請となれば、自分で無理やりチャレンジしようとするのではなく、一度専門家に相談することを心からオススメします。

送還になってからでは遅いです。

相談するかどうか悩んでいてオーバーステイ期間が延びてしまう前に、是非ともビザ部の無料相談をご利用ください。

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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