国際結婚

【専門家が徹底解説】配偶者ビザと在留資格の取り消しについて

多くの資料を集めて申請書を作成し、大変な思いをして勝ち取った配偶者ビザ。

そんな配偶者ビザも、ある条件に該当してしまうと取消される恐れがあります。

本記事では、配偶者ビザと在留資格取取消制度について、ビザ申請専門の行政書士である筆者がわかりやすく解説していきます。

<この記事が参考になる人>

・在留資格の制度について詳しく知りたい人

・配偶者ビザを持っているが、配偶者と離婚や死別をしてしまった人

・配偶者ビザを持っているが、引っ越しの際に役所に転出入届を出していない人

在留資格取消制度により配偶者ビザは取り消される恐れがある

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在留資格取消制度とは、公正な出入国の管理を実現させることを目的として、平成16年に創設された比較的新しい制度だよ!

在留資格取消の対象となるのは、大きく以下の3つのケースに分けられます。

<在留資格取消事由(入管法第22条の4第1項各号)>

 

●虚偽申請によって在留資格を不正取得した事が判明した場合

●在留資格に対応する活動を一定期間行っていないことが判明した場合

●居住地の届出を行うことなく90日を超えた期間が経過していることが判明した場合

上の3つの取消事由に該当する場合、法務大臣が一定の手続きのもと、外国人が有する在留資格を取り消すことができます。

もちろん、配偶者ビザを有する外国人も例外ではなく、上記の事由に該当する場合は配偶者ビザを取り消される恐れがあります。

なお、取消事由に該当したとしても、正当な理由がある場合は在留資格を取り消されることはありません。

上記3つの在留資格取消事由と正当な理由がある場合について、以下の各章でそれぞれ掘り下げて解説していきます。

虚偽申請によって配偶者ビザを不正取得した事が判明した場合

虚偽申請によって配偶者ビザを取得した場合、在留資格取消しの対象となります。

虚偽申請を具体的に言うと、

●虚偽の申し立て

●都合の悪い事実の隠蔽

●虚偽文書の提出

これらの不正手段によって配偶者ビザ申請を行うことです。

虚偽申請に該当する例としての考えられるのは、

偽装結婚を行い、正真正銘の結婚と見せかけるために虚偽の資料を提出して配偶者ビザを入手した場合

などが挙げられます。

在留資格の取消しからの退去強制

虚偽申請(入管法22の4第1項1号、2号)に関しては悪質性が高いことから、在留資格が取り消された後は退去強制手続きに移行されます。

退去強制は一度されると、5年間再入国することができません。

軽い気持ちで虚偽申請をして配偶者ビザを取得できたとしても、その先にあるのは、

在留資格取消し→退去強制→5年の入国拒否

です。シャレになりません。

在留資格(配偶者ビザ)に対応する活動を一定期間行っていないことが判明した場合

日本人の配偶者等の在留資格(配偶者ビザ)を有する外国人が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないでいる場合、在留資格取消しの対象になります。(入管法第22の4条第1項7号)

よくあるケースとしては、

●特に理由もなく夫婦で別居をしている

●離婚や死別をした後、在留資格の変更申請を行わないで6か月以上経過している

このような場合、在留資格取消しの対象となります。

理由のない別居や、理由があってもその理由が正当ではないとみなされる場合、在留資格取消しの恐れがあります。

万が一在留資格が取り消されなかった場合でも、更新申請を行った時点で不許可になるリスクが高いです。

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離婚や死別があった場合も、在留資格の変更申請等何もせずに6か月以上経過してしまうと在留資格取消しの恐れがあります。

離婚や死別があった場合は、まずは14日以内に管轄の地方出入国在留管理局へ届け出る必要があります。

その後、6か月以内に状況に応じた在留資格変更申請を行います。

離婚や死別された外国人の方は「定住」の在留資格へ変更申請する人が多いです。

まとめると、

離婚・死別など、配偶者としての身分が無くなる事象発生

14日以内に地方出入国在留管理局へ届け出

6か月以内に在留資格変更申請(新しく再婚している場合は更新申請)

という流れで手続きを行うことによって、在留資格取消しの対象になるのを避けることができます。

在留資格に対応する活動を行わないことについて正当な理由がある場合

在留資格に対応する活動(例えば夫婦の同居)を一定期間行わない場合について、正当な理由がある場合、在留資格が取り消されないということを入管法は規定しています。(入管法第22条の4第1項7号)

正当な理由がある場合とは、以下のようなケースです。

①配偶者からの暴力を理由として一時的に避難している場合

②外国にいる親族の看病で、長期間の出国をしている場合(要再入国許可)

③離婚調停、離婚訴訟中の場合

④一時的に不仲となっているが、今後婚姻関係の回復が認められる場合

このようなケースの場合、配偶者としての活動を行っていないとしても、在留資格が取り消されることはありません。

また、以下のケースでは正当な理由があるかどうかに関わらず、そもそも在留資格の取消しには該当しません。

⑤子供の養育のために仕方なく別居している場合

⑥夫婦のどちらかが長期間入院している場合

⑦夫婦のどちらかが刑務所に入所中で、面会は継続的に行っている場合

したがって、在留資格に対応する活動を行っていない場合でも、上のケース①~⑦のいずれかに該当すれば在留資格が取り消されることはありません。

居住地の届出を行うことなく90日を超えた期間が経過していることが判明した場合

住居地の届出を90日以内にお住まいの市区町村役場に行わない場合、在留資格の取り消される恐れがあります。(法第22条の4第1項9,10号)

また、虚偽の住居地を届け出た場合も取消の対象です(法第22条の4第1項10号)。

住居地の届出を役所にしなければならない場合とは、

上陸許可の証印を受けて新たに日本に入国(上陸)した場合(短期滞在等を除く)

●既に届け出ていた住所から転居(退去)した場合

が挙げられます。

そもそも、新規に入国した場合や住居地の変更があった場合、住居を移転した日から14日以内に届け出なければいけないという規定が存在します(入管法第19条の7第1項、19条の9第1項)。

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要するに、

本当は14日以内に届け出なければいけないのに、90日も届出義務を無視するなら在留資格を取り消されても仕方ない

ってことなんだね。。

配偶者ビザを入手して新たに日本に住み始める際や、転居した際は忘れずに住居地の役所まで届け出るようにしましょう。

住居地を届け出ないことについて正当な理由がある場合

住居地を届け出ないことについて正当な理由がある場合も、在留資格は取り消されません。

住居地を届け出ないことについての正当な理由がある場合とは、

①勤務していた会社の倒産などで住居を失い、経済苦に陥り新しい住居地が見つかっていない場合

②配偶者からの暴力を理由として避難している場合

③住居地を届け出ることによって、生命・身体に危険が及ぶ恐れがある場合

が挙げられます。

また、以下のケースでは、正当な理由があるかどうかに関わらず、そもそも在留資格の取消しには該当しません。

④転居後の急な海外出張があり、出国中である場合

⑤頻繁に出張があり、1回の当たりの日本滞在期間が短い場合など、在留活動の性質上住居地の設定をしていない場合

⑥病気などの理由で入院しており、住居地の届出を行うことができない場合

したがって、居住地を届け出ていない場合でも、上のケース①~⑥のいずれかに該当すれば在留資格が取り消されることはありません。

在留資格取消し事由に該当してしまう場合

あまり考えたくはないですが、万が一上で紹介したような在留資格取消し事由に該当するとどうなってしまうのでしょうか。。

まず、在留資格はすぐに取消されるわけではありません。

場合によっては、住居地の変更してから無届出で数年経過しているのにもかかわらず、取消しをされてないケースもあるそうです(推奨しません)。

在留資格取消事由に該当すると、以下のような流れで在留資格の取り消しに至ります。

 まとめ:配偶者ビザを取り消されないために

本記事では、在留資格取消制度について詳しく解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。

配偶者ビザを有している人は、在留資格を取り消されないよう、以下の事項を気を付けましょう。

●虚偽申請はしない(大前提)

●理由なく別居はしない

●離婚、死別となってしまったら、14日以内にその旨の届出をし、6か月以内に在留資格変更申請(再婚した場合更新申請)を行う

●日本に入国した時や、転居をした際は、管轄の市区町村役場へ住居地の届出を行う。

以上のことを意識して入れば、基本的に在留資格が取り消されることはありません。

ビザの変更申請や更新申請について困ったことがある場合、下記画像リンクよりビザ申請の専門家である行政書士への無料相談をご利用ください。

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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