このような相談は少なくありません。
結論を先に言うと、犯罪歴があっても配偶者ビザを取得できる場合はありますが、通常より審査が不利になることは間違いないです。
今回この記事では、外国人配偶者に犯罪歴がある場合の配偶者ビザの審査の影響等について、ビザ申請専門の行政書士である筆者が解説していきます。
目次
外国人配偶者に犯罪歴がある場合の配偶者ビザ申請
配偶者ビザの申請書(在留資格認定証明書交付申請書等)では、犯罪歴を申告する項目があります。
禁固刑や懲役刑はもちろん、交通違反も含めて罰金刑以上の処分を受けている場合は申告する必要があります。
これは日本での処分に限らず、母国や第三国も含みます。
また、処分を受けた時の期限が指定されているわけでは無いので、例えば10年前以上の処分でも申告が不必要になるわけでなく、正直に申告しなければなりません。
過去の処分歴を隠して申請したこと発覚した場合、虚偽申請として配偶者ビザが不許可になる恐れがありますので要注意です。
ここでは処分を受けたことの有無が聞かれています。
それ故、例えば過去に万引きをして見つかってしまったけれど、罰金等の刑罰を受けたことが無ければ「無」に該当します。
犯罪歴がある場合の審査への影響
残念ながら、外国人配偶者に犯罪歴がある場合は配偶者ビザの審査は不利になります。
しかし、実際に配偶者ビザの審査がされる際には、単なる犯罪歴のみで許否を決せられるわけではありません。
・過去の犯罪の軽重
・犯罪の処分を受けてから経過した期間
・婚姻の信憑性の高さや、家族間の結合性の強さ
・子供の有無
など、様々な事項を検討されたうえで許可の可否が決定されることになります。
従って、犯罪歴があるという理由のみで、配偶者ビザの申請をあきらめるのは早計と言えます。
犯罪歴がある場合でも、
・詳細な申請理由書
・外国人本人の反省文
・親族や友人からの嘆願書
などを添付して申請することによって、許可される可能性もあるでしょう。
一定の犯罪歴があると原則日本に入国(上陸)する事ができない
上述の通り、犯罪歴があっても配偶者ビザを取得できるケースもあります。
しかし、以下に該当するような一定の犯罪歴がある場合、法律上日本へ入国(上陸)することができません(入管法第5条1項)。
・日本または日本国外で、1年以上の懲役や禁固刑を受けたことがある場合
・日本または日本国外で、大麻や麻薬の取り締まりの法令に違反して刑に処されたことがある場合
上記に該当する場合、原則日本への入国を拒否されることになります。
ただし、法律は上に該当する外国人に対し、一律に入国を認めないとはしていません。
その外国人に特別な事情があると認められるときは、特例として入国(上陸)許可を与えることができる余地も残してあります。
この例外的な措置には、
・上陸特別許可(入管法第12条)
・上陸拒否の特例(入管法第5条の2)
があります。
上陸特別許可や上陸拒否の特例によって入国を認められた場合は、一定の犯罪歴があったとしても入国が可能になり、配偶者ビザのような在留資格をもらえることになります。
しかしそうは言っても、上陸特別許可や上陸拒否の特例で配偶者ビザが許可されることの難易度はかなり高いです。
いずれにせよ、一定の犯罪歴があると配偶者ビザの審査がより厳しくなってしまうのは間違いありません。
犯罪歴がある場合の配偶者ビザの審査のポイント
上述の通り、犯罪歴がある場合の配偶者ビザの審査は、通常のそれより厳しくなるでしょう。
そして、「こうすれば絶対に許可される」という解があるわけでもありません。
しかし、不用意に申請を行うより、以下に紹介するいくつかのポイントを理解して申請した方が審査が有利になる可能性はあります。
婚姻の信憑性・家族間の結合の強さを証明する資料の提出
婚姻の信憑性は配偶者ビザの審査で重視されるポイントですが、それは外国人配偶者に犯罪歴がある場合も変わりません。
むしろ、通常の申請よりも積極的に信憑性を高められる資料を出していけると良いでしょう。
また、提出資料を通して家族間の結合の強さを証明する事も大切なポイントになってきます。
●交際の経緯を詳細に記載した申請理由書
●LINEやメール等の通信履歴
●二人で映っているスナップ写真
●お互いの渡航歴が分かるもの
●懐妊している場合は母子手帳等
これらの書類を出来るだけ提出し、婚姻の信憑性と家族間の結合の強さを立証していきます。
反省文(誓約書)を提出する
もう2度と同じ過ちを犯さないという事を記載した反省文(誓約書)も提出すると良いでしょう。
反省文に関しては、特に決まった書式や内容等はありません。
・過去の過ちについて
・過去の過ちの反省
・現在その反省を生かしてどのように生活を送っているのか
など、自分の素直な反省の気持ちを記載しましょう。
なお、外国語で書かれた場合はそれを翻訳する必要があります。
手書きでもWORDでも構いませんので、A4用紙1枚程度の内容で作成できると良いです。
犯罪歴を理由に配偶者ビザが不許可になったら
場合によっては、犯罪歴があるという理由から配偶者ビザの申請が不許可になることもあるかもしれません。
しかし、日本で一緒に同居するという強い意志があるのであれば、一度不許可になったとしても諦めずに再挑戦するべきです。
何故なら、過去にも配偶者ビザの申請をしたという事実が自体が、二人の信頼関係や絆の深さを証明するものとして有利に働く可能性があるからです。
なお、一度または数度不許可になって再挑戦する場合、自ら申請を行うのではなく、筆者のようなビザ申請を専門とする業者の利用も検討した方が良いと思います。
まとめ
今回は犯罪歴がある場合の配偶者ビザ申請について解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。
犯罪歴がある場合、場合によっては審査が難航してしまう事もあるかと思います。
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