日本で永住権をゲットできれば、日本在住の外国人にとって大きなメリットがあります。
しかし永住許可の条件や審査は、他のビザと比べてとても厳しいという側面があります。
ただし、高度人材外国人とっては一概に厳しいとも言えないようです。
永住権を取得するには通常日本に10年以上滞在しなければなりませんが、あなたが高度人材外国人であるならば、最短1年または3年の滞在で永住権が取得できます。
今回この記事では、高度人材外国人が永住申請をするメリットや注意点を、専門家が分かりやすく解説していきます。
行政書士 明石隆生
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 行政書士事務所の代表として日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。
目次
高度人材外国人が日本で永住申請をするメリット
高度人材外国人は日本の永住許可申請で得をします。
多くの外国人にとって高いハードルとなっている、「原則10年以上日本に在留しなければならない」という要件が緩和されるからです。
高度専門職のポイントが「70点」以上の場合最短3年。
「80点」以上の場合最短1年で永住権を取得できるようになります。
他にも、日本で永住権を取得すると以下のようなメリットがあります。
・就労制限がなくなる(職種に縛られることはありません)
・在留資格の更新が必要なくなる
・日本で住宅ローンやビジネスでの借り入れが容易になる
・配偶者や子供の永住許可のハードルが下がる
高度人材外国人の必要在留期間の緩和について
ここで、必要在留期間の緩和について深掘りしていきます。
高度専門職のポイントが70点以上80点未満の外国人
この場合、引続き3年以上の在留で永住権の申請ができるようになります。
より詳しくいうと、永住許可申請日から3年前の時点を基準として、ポイントが70点以上ある必要があります。
ちなみに、現在有している在留資格が「高度専門職」ではない場合でもこの緩和が適用されます。
高度専門職のポイントが80点以上の外国人
この場合、引続き1年以上の在留で永住権の申請ができるようになります。
より詳しくいうと、永住許可申請日から1年前の時点を基準として、ポイントが合計80点以上ある必要があります。
上記同様、現在有している在留資格が「高度専門職」ではない場合でもこの緩和が適用されます。
あなたも該当するかも?高度人材ポイント計算
現在「高度専門職」の在留資格を持っていない人でも、ポイント計算の結果70以上ポイントがあれば永住許可申請ができる可能性があります。
ということで、気になる方は一度下のPDFをダウンロードして、ポイント計算してみることをオススメします。
PDF資料:ポイント計算表
特に、
・大卒以上
・30代以下
・年収500万円以上
・日本語能力試験N1取得者
これらに該当する人は高得点になる可能性が高いので、是非一度ポイント計算してみましょう。
高度人材外国人が永住申請をする際の身元保証人は?
永住許可申請では身元保証人を必ず用意する必要があり、これは高度人材外国人だとしても例外はありません。
永住申請をしようとする人は、以下の条件に該当する人を身元保証人として選ばなければなりません。
<身元保証人になれる人>
・日本人
・日本の永住権を持っている外国人
<身元保証人に求められること>
・職についていること
・年収300万円以上(が好ましい)
・住民税等の税金を納めていること
身元保証人の保証内容は外国人の滞在費、帰国費用、法令順守の3つです。
しかし、ここでいう身元保証とは、いわゆる借金の肩代わりをするような連帯保証ではありません。
万が一身元保証をした外国人が法令順守せずに逮捕された場合でも、身元保証人が責任を負うという種のものではないのです。
高度人材の外国人の場合、身元保証人を勤務先の同僚や上司などにお願いする方が多いようです。
なお、身元保証人の用意以外にも、永住権を取得するためには以下のような様々な条件を満たす必要があります。
①素行が善良であること
・日本の法令に違反しないこと(懲役・禁固・罰金)
・違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと(交通違反・家族への監督不十分)
②独立して生計を立てることができる資産や技能があること
・年収が300万円以上あること
・安定した職についていること
③日本の国益に合うと認められること
・引続き必要年数日本に在留していること
・納税などの公的義務を履行していること
・現在持っている在留資格について最長の在留期間があること
・公衆衛生上の観点から有害となる恐れのないこと
・著しく公益を害する行為をする恐れがないと認められること
詳しくは以下の記事で解説しています。
高度人材外国人でも永住権が不許可になるケースとは
永住許可に必要な日本在留年数が大きく緩和される高度人材外国人ですが、申請が不許可になってしまうケースももちろんあります。
そこで、注意すべきケースを以下解説します。
各種税金の未払いや支払い期日の遅延
会社から各種税金が天引きされているのであれば、これらの心配は無用です。
しかしそうでない場合、住民税や国民健康保険税、国民年金等を期限通りに支払っているかどうかが重要となります。
特に、期限通りに支払いができているかが重視され、1日でも遅れてしまった場合は不許可となるので注意が必要です。
支払い忘れや期日遅れの対策としては、口座自動引き落とし制度を利用することをオススメします。
繰り返してしまった交通違反
交通違反を繰り返してしまうと、「社会生活において違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っている」とみなされてしまう恐れがあります。
ここでいう交通違反とは、スピード違反や一時停止無視、駐車違反などが該当します。
過去3年間で3回以上の交通違反は「違法行為を繰り返し行う」と認定されてしまう恐れがありますので注意です。
飲酒運転や無免許運転は言語道断。
不安であれば、永住権を取得するまでは車にできるだけ乗らないというのも一つの手です。
家族の素行が悪い場合
家族が「家族滞在」の在留資格で滞在しているにもかかわらずアルバイトをしてしまっている場合など、家族の素行が悪い場合も永住許可の審査に響きます。
永住申請をしようとしている方自体は悪くありませんが、家族がそのような行動をしている場合「監督不十分」として、「風紀を乱している」と認定される恐れがあります。
永住申請をスムーズに行うためには、自身の家族にもしっかりとそのメリットや審査の厳しさを理解してもらうことが大事です。
最後に:高度人材外国人の永住許可申請の審査期間
高度人材外国人だからと言って審査期間が特別短縮されるようなことはありません。
永住許可申請の標準処理期間(国が公表している目安)は4か月とされていますが、実際は6か月~10か月程度要しています。
できるだけ早く永住権を取得するためには、普段から税金の支払いや交通違反に気を付け、訂正されることのないように申請の必要書類をしっかり準備することが第一です。
永住許可申請に必要な膨大な書類の作成が手間である場合、筆者のような永住申請の専門家にアウトソースするのも賢い選択の一つです。