「貯金額が少ないんだけど、永住許可大丈夫かな?」
この質問はよく聞かれる質問の一つです。
結論、日本の永住許可の審査において貯金額は重視されません。
この記事では永住許可申請と貯金額のこと、また審査において貯金よりずっと重視される年収額について解説していきます。
・永住許可と貯金額について
・永住許可に必要となる年収について
行政書士 明石隆生
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 行政書士事務所の代表として日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。
目次
永住許可に必要な貯金額
永住許可について、国が公表しているガイドラインの中には
・独立して生計を立てることができる資産や技能があること(独立生計要件)
という項目があります。
これを見ると、永住許可には十分な貯金額(資産)が必要と思われがちですが、実際は貯金額はそこまで重視されるものではありません。
審査においては貯金額よりも生活の基盤となる年収額のほうが重視されています。
貯金額が少ない場合
永住許可における貯金額のボーダーラインはありません。
したがって、極端な話貯金額が0でも安定した収入があれば永住許可は下りる可能性はあります。
しかし実際問題、外国(日本)で生活するにあたって来月の生活費を賄う貯金も十分にないという状況はあまり好ましくないですよね。
また年収額が安定してあったとしても、貯金額が10万円の人と1000万円の人では後者の方が許可が下りる確率は高くなるはずです。
したがって、あまり貯金額は審査に重視されないからと言っても、ある程度の貯金額は確保しておいた方がより良いでしょう。
身元保証人の貯金額
永住許可申請では身元保証人が必要となりますが、身元保証人にも一定の収入があることが必要とされます。
しかし、身元保証人の貯金額は審査の対象ではありません。
したがって一定の収入があれば貯金が少なくても問題ありません。
身元保証人については以下の記事で詳しく解説しています。
貯金額より大事な年収額
貯金額とは異なり、永住申請では年収額がとても重視されます。
年収額は、日本で独立して安定した生活をおくれるかどうかのバロメーターとして見られています。
日本国としてはせっかく外国人に永住権を与えたのに、その外国人が自立ができなくなって生活保護を受給し、ひいては公共の負担となってしまったら困ります。
そこで永住許可を審査する際には、年収額をもとにかなりシビアに永住の許否を決めているのです。
永住許可に必要な年収額の目安
永住許可に必要な年収の基準額は、明確に公表されているわけではありません。
しかし一般的には最低年収300万円以上必要と言われており、扶養者が1人増えるにつきプラス70万円程度必要とされています。
年収額に関しては諸説あり、確かなことは言えませんが、少なくとも年収300万円を下回ると許可される可能性は限りなく低くなります。
2019年に永住許可の審査が厳格化されたこともあり、年収要件は従前より厳しく審査されています。
永住許可に必要な年収額については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
貯金額(資産)を証明するために提出したほうが必要書類
出入国在留管理庁のHPを見ると、永住申請の必要書類の中に「貯金額を証明する書類」というものは求められていません。
しかし、少しでも貯金があることをアピールして審査を有利に進めるために、10万円以上の残高があるものはすべて提出するようにした方が良いでしょう。
預金残高の確認できるもの
預金残高が確認できる書類としては以下の書類が挙げられます。
・通帳の写し(銀行印があるページ+最後に記帳したページ)
・ネット銀行Webページ画面キャプチャ(名義人・支店名・口座番号・残高が映っているもの)
・預金残高証明書
・その他海外の銀行から送られてくる残高の分かる定期便など
いずれも残高10万円以上あるものはすべて提出したほうが良いでしょう。
なお、預金残高を多く見せかけるために下手な工作をして、万が一発覚した場合はマイナスの影響が出る恐れがあるので注意です。
不動産の登記事項証明書
現在住んでいる家が持ち家の場合や、資産として不動産を所有している方は登記事項証明書の提出が必要となります。
登記事項証明書は法務局で取得することが可能です。
登記・供託オンライン申請システムからオンラインで申し込むこともできます。
その他、永住許可申請に必要となる書類については以下の記事で解説しています。
まとめ
永住許可申請には何かとハードルが多いですが、貯金をためるにしろ安定した年収をもらうにしろ、結局コツコツ地道にやるのが一番の近道です。
永住申請についてなにかお悩み事があれば、お気軽にご相談ください。