永住権

【解説】外国人が永住権を取得する為に知るべき年金のなはし

外国人が永住申請を許可されるためには、公的年金の納付が必須です。

この記事では、外国人にとっての公的年金の仕組みと、永住許可に必要な年金の情報について詳しく解説していきます。

この記事を読むとわかること

・外国人にとっての日本の公的年金について

・永住申請における年金納付の注意点

・年金を未納している場合の対応

永住権を取得するためには年金の納付実績が必要

2019年の永住許可に関するガイドラインの改定で、外国人が永住許可されるためには公的年金の納付が必須となりました。

公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

上記は国の出しているガイドラインですが、これが年金納付実績が必要であるという根拠となります。

また、ただ単に年金を納付した実績が必要とされるだけでなく、

●支払い期限に遅れていないこと

●原則2年以上の納付実績

が必要となり、従来に比べてかなり永住許可の要件が厳しくなりました。

そもそも外国人は年金を支払う必要はあるのか

日本に住んでいる以上、外国人でも公的年金を支払う義務があります。

 

ビザゴリ
ビザゴリ
日本でずっと暮らすわけじゃないし、支払わなくていいんじゃない・・・?

 

と考える人も多いですが、年金に加入するのは義務です。

このような考えで年金を支払わないと、いざ日本人と結婚したりして身を固める際、永住権がなかなか取れずに苦労するはめになってしまいます。

 

ビザゴリ
ビザゴリ
でも結局いつかは帰国するから、ここで年金を払っても無駄になるんじゃない?

 

安心してください。

後ほど説明しますが、一定期間日本で年金を納付した外国人には「脱退一時金」が支給されます。

また一時期日本において年金を納付していた期間を、自国の年金制度へ通算できる「社会保障協定」というものも存在します。

以下では日本の公的年金制度について簡単に解説していきます。

国民年金と厚生年金

日本の公的年金制度には、国民年金と厚生年金があります。

あなたが会社員か、自営業者等かによって加入先が変わります。

国民年金

国籍かかわらず、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入しなければなりません。

学生や自営業者、農業・漁業に従事している人は国民年金保険料を自分で納付する必要があります。

会社などに勤めており、厚生年金に加入している人は国民年金を直接納付することはありません。

では、厚生年金加入者の国民年金保険料はどうなるかというと、厚生年金保険が加入者に代わって国民年金を負担してくれています。

【国民年金要点まとめ】

加入者 外国人も含む、日本在住の20歳以上60歳未満の人
直接納付する必要がある人 自営業者、漁業・農業従事者、学生
直接納付する必要がない人 会社員、公務員、私学教職員など
年金保険料 16,590円(令和4年度。年度ごとに保険料は変動します)

厚生年金

厚生年金保険は会社などの法人や従業員数5人以上の個人事業所など、事業所ごとに加入する義務があります。

そして厚生年金保険に加入している会社の従業員は、厚生年金保険の被保険者となります。

あなたが会社員であれば、基本的に厚生年金保険に加入していると思って良いでしょう。

厚生年金保険加入者の大きな特徴としては、保険料が毎月の給料から天引きされるので、加入者が直接納付するということがありません。

天引きされた年金保険料は、会社などの事業所が被保険者の代わり納めることになります。

また上でも触れましたが、厚生年金加入者の国民年金保険料に関しては、厚生年金保険が加入者に代わって負担しています。

【厚生年金要点まとめ】

加入者 会社員、公務員、私学教職員
納付方法 毎月の給与、賞与から天引き(事業所が代わりに納付
年金保険料 毎月の給与+賞与×保険料率

外国人でも納めた年金はもらえるのか

もちろんもらえます。

日本で年金(国民年金や厚生年金)を納めた期間が10年以上ある場合、65歳から老齢年金を受給することができます。

海外に帰国した場合は?

「脱退一時金」として、年金を納付した期間の上限月数60月分まで支給されます。

脱退一時金を請求するためには、以下の条件を満たす必要があります。

(国民年金の脱退一時金の場合)

・日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していないこと

・日本国籍を有していないこと

・日本国内に住所を有していないこと

・請求日において厚生年金保険または国民年金の被保険者ではないこと

・保険料納付済期間等の月数の合計が6月以上あること

・老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと

・障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがないこと

詳細は日本年金機構のHPをご覧ください。

社会保障協定について

これは一時期日本において年金を納付していた期間を、自国の年金制度へ通算できるという制度になります。

自国でも年金を納付し、数年滞在した日本でも年金を納付しなければならないとなると、二重に年金を負担することになってしまいます。

こうした事態を回避するために、二国間で年金の加入期間を調整することがこの社会保障協定の目的となります。

【社会保障協定発行済みの国】

・ドイツ、アメリカ、英国、カナダ、フランス、オーストラリア、韓国、中国、オランダ、スペイン、フィリピン・・・etc

永住許可申請における年金納付の注意点

年金の納付について、永住許可申請の際に審査されるポイントは以下の2点です。

・原則2年以上の納付実績があるか

・納付期限は守っているか

原則2年以上の納付実績があるか

永住許可申請の際には、直近2年間の公的年金の納付実績を証明することが求められています。

したがって年金を納付し始めてまだ2年間経過していない場合、最低2年間の支払い実績を作ってから永住申請をしましょう。

日本人、永住者、特別永住者の実子等の場合は直近1年間でOKです

納付期限は守っているか

永住許可申請については、公的年金の納付期限をとても厳しくチェックされます。

2年間の支払い実績のうち、1日でも支払いが遅れた月があれば永住申請は不許可になる恐れがあります。

それほど審査は厳しいです。

永住権を目指している方で、特に国民年金しか加入していない方は、うっかり期限を忘れないよう年金納付の口座振替などを積極的に活用したほうが良いです。

スムーズな永住権取得のためにも、納付期限は必ず守りましょう。

年金を納付していることを証明する書類

永住許可申請の際は、公的年金を納付している証明書類を提出する必要があります。

揃えるべき書類はケースによって異なります。

(厚生年金に加入している人は以下のどちらかを提出)

・ねんきん定期便

・ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面

(国民年金に加入している方(過去2年間に加入していた方)

・国民年金保険料領収書写し

ねんきん定期便

ねんきん定期便とは、日本年金機構より毎年誕生月に送られてくる年金記録です。

ねんきん定期便を申請書類として提出する際は、全期間の年金記録情報が表示されているものが必要です。

全期間の年金記録情報が記載されている封書は、日本年金機構へ交付申請をすることで入手できます。

ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面

ねんきんネットは、登録することによっていつでも年金の情報を確認できるサービスです。

手続はネットですぐに行うことができますので、永住申請を控えている方は登録することをオススメします。

提出する書類は「各月の年金記録」の画面を印刷したものでOKです。

ねんきんネットをまだ登録していない方は、こちらから登録できます。

国民年金保険料領収書写し

直近2年間に国民年金に加入していた時期がある方は、当該期間分の領収証書の写しを全て提出します。

公的年金を未納している場合の対応

未納、もしくは納付期限通りに支払いができていない場合、永住許可が認められることはほとんど無いといってでしょう。

そこで、現在年金の未納や納付遅れがある場合の対応をお伝えします。

最低2年間、期限通りに納付した後に永住申請を行う

時間はかかってしまいますが、しっかりと納付できていなかった過去は変えられませんので、今から2年間期限通りに納付しましょう。

そして2年後、改めて書類を揃えて永住申請を行うのが一番の近道と言えます。

支払いを口座振替に変更するなど工夫するなどして、期限通りの納付しましょう。

やむを得ない理由がある場合を理由書を提出

例えば交通事故にあったり、病気の為やむを得ず納付が遅れてしまうことも中にはあるでしょう。

このような場合は、なぜ期限通りに支払うことができなかったのか、理由書を添付して申請することができます。

あくまで許否の判断を下すのは法務大臣ですが、理由書で納付が遅れた理由が説明できれば永住許可が出る可能性があります。

まとめ

ビザゴリ
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この記事では永住許可申請と外国人の年金納付について詳しく解説してきたよ

日本人でさえ詳細に理解している人が少ない公的年金制度。

外国人として日本で生活している人にとっては、より分かりずらいものと思います。

しかし、永住権が欲しいのであれば年金の支払いは避けて通れません。

できるだけ早い段階で年金制度を理解し、納付を始めることをオススメします。

永住権の悩みなら、私たち専門家にお気軽ご相談ください。

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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