数は多くありませんが、このような質問を受けることがあります。
本記事では、ビザ申請専門の行政書士である筆者が日本人側が生活保護を受給している場合に配偶者ビザは取得できるかどうかについてわかりやすく解説していきます。
<この記事が参考になる人>
●現在生活保護を受けているが、外国人配偶者のビザを申請する予定がある人
●配偶者ビザについて詳しく知りたい人
目次
生活保護を受けていても配偶者ビザは取得可能か
結論、日本人側が生活保護を受給している場合、配偶者ビザを取得する事は困難です。
しかし、絶対に不可能というわけではありません。
現在はやむを得ず生活保護を受給しているが、就職も決まり生活保護を廃止する予定がある等のケースでは、可能性も見込めます。
配偶者ビザの審査のポイント
配偶者ビザの審査では、
●婚姻関係の信憑性
●婚姻生活の安定性
●婚姻生活の継続性
この3点を重要視されます。
日本人側が自立した生活がままならずに生活保護を受給しているケースだと、婚姻関係の安定性、継続性が無いと判断されてしまいます。
配偶者ビザを申請する際、日本人は外国人配偶者の身元保証人という立場になります。
その身元保証人である日本人が生活保護を受けている状態で、配偶者ビザの許可が下りるという事は現実的ではありません。
このように、生活保護受給中である限りは配偶者ビザの審査は著しく厳しくなるでしょう。
生活保護受給している場合はどうしたらよいのか
配偶者ビザの申請という観点から考えると、生活保護の受給を打ち切ることが先決です。
もちろん、人によって生活保護を受給する事情は様々あるでしょうし、やむを得ない場合もあるでしょう。
しかし、やはり如何に生計を立てていけるかが重視される配偶者ビザの審査なると、身元保証人たる日本人が生活保護を受給しているということは致命的になってしまいます。
就職をして生活保護を打ち切る
定職について生活保護を打ち切ることできれば、配偶者ビザが許可される希望が見えてきます。
配偶者ビザを取得する為には、定職について自ら収入を得られる状態になるのが最短でより確実な方法なのです。
なお、定職に就いた場合、最低3か月以上働いてから配偶者ビザの申請をするのが好ましいです。
そうすることによって、勤続していることに加え、直近3か月分の給与明細を収入証明として配偶者ビザの申請で提出することができます。
親族から定期的に生活費等の援助を受ける
両親など、親族から定期的に生活費の援助を受けることができて、生活保護を打ち切ることができればプラスに働きます。
詳しくは後で解説しますが、親族から定期的に援助を受けられることになった場合、配偶者ビザの申請時は日本人配偶者だけでなく親族の人にも身元保証人になってもらうことになります。
外国人配偶者の就労先が日本で決まっている場合
外国人配偶者の就労先が既に決まっている場合や、外国人配偶者が何らかの在留資格で既に日本で就労して一定の収入がある場合、配偶者ビザが認められる可能性が出てきます。
外国人配偶者の収入が安定的に社会生活を送れるほど十分であれば、生活保護を打ち切ることもできるははずです。
外国人配偶者に十分な収入があることを証明する書面としては、
・雇用契約書
・在職証明書
・源泉徴収票
・直近3か月分の給与明細書
・その他収入があることを証明できる書面
が挙げられます。
これらの書類を提出し、外国人配偶者の収入で安定して生活する事が出来ることを立証できれば、許可の可能性も出てくるでしょう。
配偶者ビザ申請時に提出した方が良い書類
生活保護を打ち切った後、実際に配偶者ビザ申請を行う際は提出書類に注意が必要です。
配偶者ビザ申請に必要な書類は出入国在留管理庁のHPに掲載されていますが、そこに掲載されている書類はあくまでも必要最低限の書類になります。
生活保護を打ち切った後に申請するような場合、最低限の書類以外にも追加書類を提出し、婚姻生活の安定性や継続性があることを入管に立証していく必要があります。
追加書類には絶対的に決まった書類は無く、あくまでケースごとに判断していくのですが、以下では考えられる書類を上げていきます。
生活保護廃止決定通知書
生活保護を辞退すると、市区町村の福祉事務所等から生活保護廃止決定通知書が発行されることになります。
配偶者ビザ申請の際は、生活保護を打ち切った証明として必ずこの通知書を添付しましょう。
申請理由書
申請理由書とは、配偶者ビザ申請の際に提出が必須となる「質問書」の別紙として提出する書類です。
申請理由書には、
・夫婦の出会いについて
・交際から結婚に至るまでの経緯
・生活保護を受けることになった経緯
・生活保護を打ち切った後の今後の展望
など、特に生活保護になってしまった経緯やこれからの展望について、出来るだけ詳しく記載していきましょう。
決まりはありませんが、生活保護を打ち切ったケースでは、A4用紙2枚~4枚程度で詳しく経緯を説明できれば良いと思います。
申請理由書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
親族の身元保証書
身元保証書とは、配偶者ビザの申請の際に必ず提出すべき書類で、申請者(外国人配偶者)の身元保証することを出入国在留管理局に約束した書面です。
通常身元保証人は日本人配偶者がなるため、その方の身元保証書を1枚提出すればOKです。
しかし、生活保護を打ち切ったばかりのケースでは、日本人配偶者一人での生計維持能力に疑問を持たれてしまっても仕方ありません。
このような理由から、両親などの親族から生活費の援助を取り付けて身元保証人となってもらい、親族を身元保証人とした身元保証書を提出することによって印象を良くしていきます。
身元保証書に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
直近3か月分の給与明細書
生活保護を打ち切り、就職することができた場合は、直近3か月分の給与明細書を収入の証明として提出します。
通常配偶者ビザの申請では、収入の証明として「住民税の課税証明書」を提出します。
しかし、課税証明書に記載されている金額は前年度の収入額です。
最近働き始めた場合には収入が反映されていないため、直近の収入額を入管に証明することができません。
そのため、直近の給与明細書を提出することによって、安定した結婚生活を送るために十分な収入があることを立証していきます。
まとめ
本記事では、生活保護と配偶者ビザの申請について解説していきましたが、参考になりましたでしょうか。
残念ながら、日本人が生活保護受給者の場合、配偶者ビザの許可は極めて困難です。
しかし、生活保護を打ち切ることができれば、配偶者ビザの希望も少しは見えてくるでしょう。
いずれにせよ、イレギュラーな申請は難航するケースが多いです。
不許可になる前に、一度ビザ申請の専門家に相談する事をオススメします。