技能実習生と日本人が恋に落ち、結婚に至る例は年々増えています。
それと同時に、このような相談を受けることも増えてきました。
今回この記事では、技能実習生と結婚したいときはどのような手続きを踏むと良いのかなどについて、ビザ申請専門の行政書士である筆者が、わかりやすく解説していきます。
<この記事が参考になる人>
・技能実習生と付き合っている人
・技能実習生と結婚する予定のある人
・配偶者ビザについて詳しく知りたい人
目次
技能実習生が配偶者ビザを取得することはできるのか
2021年現在、技能実習生は日本に約40万人います。
来日して在留する外国人が増えることによって、それに伴う国際結婚の事例も増えてきています。
そこで、技能実習生と日本人が結ばれることとなった場合、配偶者ビザを取得することはできるのかという事ですが、
技能実習生が配偶者ビザを取得する方法はあります。
しかし、技能実習生が日本にいながら配偶者ビザへ変更申請をすることは原則認められていません。
何故変更申請が認められていないかというと、それは技能実習制度の本旨に起因します。
技能実習制度の目的
日本で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与すること
要するに、技能実習生は日本で技能や技術を身に付け、それらを母国に持ち帰り、その発展に貢献する事が前提とされています。
最終的に技能実習生は母国に帰ることが想定されているのです。
従って、日本にそのまま居続けることは認められず、技能実習生は配偶者ビザへ変更申請することが原則できません。
技能実習生が配偶者ビザを取得する方法
上では、原則配偶者ビザへの変更申請は認められないと書きましたが、原則があれば例外もあります。
技能実習生が配偶者ビザを取得するには以下の方法があります。
●【王道】技能実習期間が終了後、一度実習生は帰国し、それから一定期間経過した後在留資格認定証明書交付申請を行い、パートナーを外国から呼び寄せる
●妊娠・出産等やむを得ない事情がある場合に変更申請を行う
●【難易度高】管理団体、実習先企業から承諾書や同意書を取り付けた上で変更申請を行う
このように、技能実習生が配偶者ビザを取得する方法はいくつか存在します。
しかし筆者としては、不許可のリスクが伴う変更申請ではなく、実習生が一度帰国して改めて認定申請を行う王道の方法をオススメします。
詳細は以下でそれぞれ解説します。
【王道】技能実習生が一度帰国してから改めて配偶者ビザの申請をする
技能実習生が日本人と結婚して配偶者ビザを取得しようとする場合は、一度帰国してから認定申請を行うのが王道です。
確かに一度帰国することは費用も時間もかかるので、できれば日本にいながら技能実習→配偶者ビザへ変更したい気持ちもわかります。
しかし、妊娠・出産をした等やむを得ない事情が無い場合、技能実習→配偶者ビザへの変更申請のハードルはかなり高いです。
労力も掛かるうえに不許可のリスクはかなり大きい。
従って、ここでは一度帰国することを想定したうえで、技能実習生が配偶者ビザを取得するまでの流れを見てみます。
①実習期間を満了し、一度帰国する
↓
②相手国または日本で婚姻手続きを行う
↓
③書類を揃え認定申請を行う(帰国後一定期間経過を待ってから)
↓
④在留資格認定証明書が発行されたら相手国に郵送し、外国人配偶者はそれを持って現地日本大使館または領事館に査証申請を行う
↓
⑤パスポートと査証を持って晴れて日本に来日。日本人パートナーと幸せな結婚ライフを送る
①実習期間を満了し、一度帰国する
まずは実習期間満了することが第一です。
一定期間離ればなれになってしまうのは寂しいと思いますが、ここは一度帰国します。
ちなみに、このタイミングで相手国に一緒に行くという人もいます。
たしかに、そうすれば相手国に一緒に渡航でき、ついでに相手国で婚姻手続きもできて一石二鳥です。
②相手国または日本で婚姻手続きを行う
実習生が帰国するタイミングで同伴して相手国に渡航し、婚姻手続きを済ませるのも一つの手です。
また、実習期間満了後、帰国までに一定の期間がある場合、その期間内に日本で婚姻手続き済ませておくことができればその後がスムーズです。
そうでなければ、外国人パートナーが帰国した後改めて日程を調整し、相手国に渡航するか、短期で日本に来日してもらい、婚姻手続きを済ませましょう。
③書類を揃え認定申請を行う
両国で法的に婚姻手続きが済んだら、必要書類を揃えて管轄の出入国在留管理局に認定申請を行います。
提出する書類には、通常の必要書類に加えて
・親族からの嘆願書
・実習先の上司からの上申書
などを提出できればより良いでしょう。
以下の記事で必要書類の解説や申請書の作成方法などを紹介していますので、良ければ参考にしてみてください。
技能実習から帰国後すぐに申請をするのは入管から好ましくないとされ、審査が難航する恐れがあります。
本国に帰国してから認定申請を行うまで、最低でも数か月期間を開けた方が良いとされています。
④⑤在留資格認定証明書発行後
申請が許可され、在留資格認定証明書を入手できたら、それを外国人配偶者の元へ国際郵便(EMS等)で発送です。
証明書を受け取った配偶者は、それを持って現地の日本大使館または領事館で査証申請をします。
なお、在留資格認定証明書の有効期限は3ヵ月なので、3か月以内に査証申請を行いましょう(コロナ禍では有効期限が異なる場合があります)。
査証が発行されたら、それを持って晴れて日本に入国する事ができます。
妊娠・出産等やむを得ない事情がある場合に変更申請を行う
技能実習から配偶者ビザへの変更申請が可能なケースとしては、パートナーの妊娠が発覚した場合です。
この場合は、人道的な理由から許可が認められる可能性が高いです。
逆に言うと、これ以外の理由では変更申請をすることがかなり難しいと言えます。
このケースで入管に申請する際は、
・管理団体、実習先企業の(変更申請への)承諾書
・妊娠証明書または母子手帳
などを提出し、やむを得ない事情があることを書類で立証していきます。
【難易度高】管理団体、実習先企業から承諾書を取り付けた上で変更申請を行う
このケースで変更申請を行うのは難易度が高いです。
そもそも技能実習制度は実習生が母国に戻り、その発展に寄与することが前提とされている制度なので、変更申請が認められていません。
その様な状態でも変更申請を行う場合は、
管理団体、実習先企業から変更申請を行う旨の承諾書を取り付ける必要があります。
管理団体とは
技能実習生を受入れ、実習生の活動や、実習生の受け入れ企業へのサポート等を行う団体。
しかし多くの場合、管理団体や実習先企業は、技能実習生からの変更申請の承諾を出さないでしょう。
実際、管理団体等であらかじめ「技能実習期間は婚姻をしない事」という誓約をさせている機関も存在します。
ここは如何に管理団体と実習先企業に十分に説明をし、承諾書を取り付けるのかが変更申請ができるかどうかのカギとなります。
しかし、何度も言うようにそのハードルは高いです。
変更申請に費やした多くの労力が、不許可という形で無駄になる恐れもあるので、この申請方法は最終手段とした方が良いと思います。
いずれにせよ、技能実習期間中はまじめに生活するのが吉
一度帰国してから改めて認定申請を行うにしろ、日本にいながら配偶者ビザ変更申請を行うにしろ、技能実習を良好に修了したかどうかは重要なポイントです。
技能実習生として日本滞在中に何か問題を起こしていたり、技能実習を途中で投げ出してしまったケースなどは、次回のビザ申請の際に通常より厳しく審査されることになります。
これは認定申請の場合も変更申請の場合も同じです。
どちらにしろ、日本に今後も滞在したいという希望がある場合、技能実習は真面目に最後まで修了させることが肝要です。
まとめ
今回は技能実習生と配偶者ビザについて詳しく解説していきましたが、参考になりましたでしょうか。
技能実習生は年々増えているので、技能実習生と日本人カップルが年々増えるのも不思議な事ではありません。
しかし、技能実習という在留資格の性格上、色々と制約があるのも事実です。
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