国際結婚の手続きは一律に決められているものではなく、相手方の国籍によってその方法や必要書類等は異なってきます。
この記事ではイギリス人との国際結婚にスポットライトを当てました。
それぞれの国の国際結婚の手続き方法を、初めての方にもわかりやすいよう解説していきます。
・イギリス人との国際結婚の手続き方法
・国際結婚後、イギリス人パートナーと日本に住むために知っておくべきこと
行政書士 明石隆生
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 行政書士事務所の代表として日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。
目次
イギリス人と日本人の国際結婚
2020年末のデータによると、日本に中長期で滞在しているのイギリス人は17,348人で、現在日本に在留する外国人の中では多数派ではありません。(参照:出入国在留管理庁)。
しかし、ヨーロッパ諸国の中ではフランスやロシアを凌いで、在留者数ではイギリス人がナンバーワンです。
アニメや日本食など、日本独自の文化はヨーロッパでも人気があるため、日本に魅了されて日本に移り住むことになったイギリス人と日本人の国際結婚は今後も増えていく可能性があります。
日本とイギリスの婚姻に関する法律
当然ながら婚姻に関する法律はそれぞれの国で異なります。
日本とイギリスの法律も様々な点で異なりますが、例を挙げるとすると、婚姻適齢(婚姻が可能になる年齢)の違いが挙げられます。
このように、結婚が認められる年齢一つとっても、それぞれの国で法律が異なります。
各国で法律が違う場合、どちらの国の法律の要件を満たせばよいのか
※ここは少々面倒なので、早く先に進みたい方は読み飛ばしてもらってOKです。
上で述べたような、それぞれの国で婚姻適齢が異なる場合はどのように処理するのでしょうか。
結論、日本人に関しては日本の民法で決められた要件を満たす必要があり、イギリス人に関してはイギリスの法律で決められた要件を満たす必要があります。
このように、各当事者はそれぞれの国の法律の要件を満たす必要があるのです。
基本的な国際結婚の場合は上記の考え方でOKです。
イギリス人との国際結婚手続きの流れ
国際結婚はほとんどの方が経験ないと思うので、何から始めればよいか検討もつかないと思います。
以下、国際結婚手続きから日本で夫婦生活することができるようになるまでの全体的な流れです。
①どちらの国で先に結婚手続きをするか決める
②日本(またはイギリス)で結婚手続きをする
③結婚手続きを済ませていない国へ報告的届出をする
④-1.日本の出入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請
or
④-2.在留資格を持って既に日本に在留している場合は在留資格変更申請→「日本人の配偶者等」の在留カード取得
⑤在留資格認定証明書と必要書類を持って在英国日本大使館へ査証申請
⑥査証を持って日本来日、日本生活スタート
日本で暮らすためには国際結婚手続きと在留資格申請の2つの手続きが必要
勘違いしている人が多いですが、国際結婚手続きが完了したからといって日本で暮らせるわけでありません。
国際結婚手続きが完了した後、出入国在留管理局へ在留資格(配偶者ビザ)の申請を行い、在留資格を得て初めて日本で暮らすことができます。
配偶者ビザについての概要を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まずはどちらの国で結婚手続きをするか決める
どちらの国で先に結婚手続きを行うかによって、そろえる資料や申請方法も異なってきます。
また場合によっては、後に控える配偶者ビザの申請にも影響することもあります。
従って、それぞれの手順を確認したうえで、どちらの国で先に結婚手続きを進めるのがお互いにとって一番スムーズかを話し合い、結婚手続きをする場所を決めましょう。
以下の章では、それぞれの国で結婚手続きをした場合について詳しくみていきます。
国際結婚手続きでよく出る用語
国際結婚手続きを説明するにあたって、頻出する用語を3つだけ紹介させてください。
国際結婚手続きー日本で先に手続きする場合
イギリス人の方がすでに何らかの在留資格を持って日本に在留している場合は、日本で先に手続きをすることをオススメします。
日本で先に婚姻手続きをする場合、以下のような流れになります。
①駐日英国大使館で婚姻要件具備証明書(affirmation or affidavit of marriage)を取得
②日本の市町村役場へ婚姻届けを提出
以下それぞれ詳しく解説します。
①駐日英国大使館で婚姻要件具備証明書を取得
まずは駐日英国大使館で婚姻要件具備証明書(affirmation or affidavit of marriage)を発行してもらいます。
婚姻要件具備証明書を発行してもらうには、オンラインや紙ベースで証明書の申請した後、英国大使館へ宣誓の予約を行います。
以下、婚姻要件具備証明書を申請する際に必要な書類です。
オンラインや紙ベースで申請した後、英国大使館で宣誓の予約を行います。予約の際、持参するべき書類を提示されるようです。
②日本の市町村役場へ婚姻届けを提出
婚姻要件具備証明書を取得したら、日本の役所へ婚姻届けを提出しに行きます。
以下、役所に提出する必要書類になります。
婚姻届けの提出書類は、管轄の役所によって若干異なる可能性がありますので、届出先の役所へ事前に問い合わせ行うのが良いでしょう。
国際結婚手続きーイギリスで先に手続きする場合
イギリスで先に婚姻手続きをする場合、以下のような流れになります。
①イギリス方式で婚姻の手続きを行う
②在英国日本大使館で婚姻届けの提出(報告的届出)
以下それぞれ詳しく解説します。
①イギリス方式で婚姻の手続きを行う
イギリスでの婚姻は以下の2つの方法があります。
●英国教会をはじめとする教会で宗教上の結婚式を挙げる
●役所で宗教上の結婚式を挙げる
また、イギリス方式で結婚するにはライセンスを取得する必要があります。
ライセンスの取得方法
ライセンスを取得するには、3週間連続日曜日に「結婚予告」を行い、異議の有無を問う必要があります。
ライセンスは英国国教会の神父又は結婚登記官から与えられます。
また、「宣誓供述書」を提出することでもライセンスを取得することが可能です。
婚姻手続き
ライセンスを取得したら婚姻の手続きを行います。
婚姻の登録が完了すると、婚姻証明書(marriage certificate)を発行してもらえます。
この証明書はこの後日本大使館への報告的届出の際に必要となります。
②在英国日本大使館で婚姻届けの提出(報告的届出)
婚姻登録が終了後、3月以内に婚姻の届出をする必要があります(報告的届出)。
婚姻の届出は、在英国日本大使館、または帰国後に日本の市区町村で行うことができます。
以下は、日本大使館で婚姻届けをする際の必要書類となります。
在英国日本大使館への婚姻届けの必要書類の詳細は在英国日本大使館公式HPもご確認ください。
結婚手続き後は在留資格の申請をしよう
結婚手続きを済ませただけでは日本に適法に在留することはできません。
結婚手続き後は、出入国在留管理局(入管)へ在留資格の申請をして、在留資格を取得して初めて日本に適法に在留することができます。
ここでは、イギリス人の方が現在イギリスにいる場合と、既に何らかの在留資格を持って日本に在留している場合に分けて、申請手続きの概要を解説していきます。
イギリス人の配偶者が現在イギリスにいる場合
この場合、日本人配偶者の方がイギリス人の方の代理で、入管へ在留資格認定証明書交付申請をする必要があります。
申請方法に関しては、当サイトの記事でわかりやすく解説してありますので、自力でやる場合はぜひ参考にしてみてください。
認定申請の必要書類↓
在留資格認定証明書交付申請の書き方↓
質問書の書き方↓
身許保証書の書き方↓
在留資格認定証明書を取得したら在英国日本大使館へ査証を申請する
在留資格認定証明書を取得したら、それを在英国日本大使館へ持参して、査証申請を行います。
なお、在留資格認定証明書の有効期限は発行から3か月なので、期限が切れる前に査証申請をしましょう。※コロナの影響で有効期限が異なる場合があるので要確認
そこで査証が下りれば、パスポートと査証を持っていよいよ来日です。
査証申請の詳細はこちら在英国日本大使館のHPを確認してください。
イギリス人の配偶者が既に日本に在留している場合
イギリス人の方が、既に中長期の在留資格を持って日本に在留している場合は、婚姻手続き後に入管へ在留資格変更許可申請を行います。
変更申請方法に関しては、当サイトの記事でわかりやすく解説してありますので、自力でやる場合はぜひ参考にしてみてください。
在留資格変更申請完全ガイド↓
在留資格変更許可申請書の書き方↓
変更申請の場合、新しい在留カードを取得すれば手続きは完了です。
まとめ
今回はイギリス人の方と国際結婚する場合の情報をまとめてみましたが、参考になりましたか?
国際結婚はいざするとなると、やらなければならない手続きが多く色々面倒くさいです。
もし面倒な手続きを丸投げしたいという方は、国際結婚に詳しい行政書士へ頼んでみてもいいかもしれません。
相談は無料なので、下のリンクからお気軽にどうぞ!