国際結婚の手続きは一律に決められているものではなく、相手方の国籍によってその方法や必要書類等は異なってきます。
この記事ではベトナム人との国際結婚にスポットライトを当てました。
それぞれの国の国際結婚の手続き方法を、初めての方にもわかりやすいよう解説していきます。
・ベトナム人との国際結婚の手続き方法
・国際結婚後、ベトナム人パートナーと日本に住むために知っておくべきこと
行政書士 明石隆生
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 行政書士事務所の代表として日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。
目次
ベトナム人と日本人の国際結婚
2020年末のデータによると、日本に中長期で滞在しているのベトナム人は448,053人で、在留外国人の国籍別順位でいうと、韓国を抜いて2位です(参照:出入国在留管理庁資料)。
2020年はコロナウイルスが猛威を振るい始めた年であり、国籍別に日本在留の外国人数をみると軒並み下がっていますが、ベトナムだけ唯一前年比8%の増加となっています。
確かに都心部では、ベトナム人がコンビニ等で働いている姿を以前にも増してみるようになりました。
ベトナム人との接点が多くなることで、日本人とベトナム人のカップルが増えることも容易に想像できます。
また、巷にはベトナム人との結婚や出会いを斡旋する業者も多く見受けられます。
ベトナム人と日本人は文化的にも近いところもあり、今後も国際結婚の数は増加していくとみられます。
日本とベトナムの婚姻に関する法律
当然ながら婚姻に関する法律はそれぞれの国で異なります。
日本とベトナムの法律も様々な点で異なりますが、注目すべき点としては婚姻適齢(婚姻が可能になる年齢)の違いが挙げられます。
このように、結婚が認められる年齢一つとっても、それぞれの国で法律が異なります。
各国で法律が違う場合、どちらの国の法律の要件を満たせばよいのか
※ここは少々面倒なので、早く先に進みたい方は読み飛ばしてもらってOKです。
上で述べたような、それぞれの国で婚姻適齢が異なる場合はどのように処理するのでしょうか。
結論、日本人に関しては日本の民法で決められた要件を満たす必要があり、ベトナム人に関してはベトナムの法律で決められた要件を満たす必要があります。
このように、各当事者はそれぞれの国の法律の要件を満たす必要があるのです。
基本的な国際結婚の場合は上記の考え方でOKです。
ベトナム人との国際結婚手続きの流れ
国際結婚はほとんどの方が経験ないと思うので、何から始めればよいか検討もつかないと思います。
以下、国際結婚手続きから日本で夫婦生活することができるようになるまでの全体的な流れです。
①どちらの国で先に結婚手続きをするか決める
②日本(またはベトナム)で結婚手続きをする
③結婚手続きを済ませていない国へ報告的届出をする
④-1.日本の出入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請
or
④-2.在留資格を持って既に日本に在留している場合は在留資格変更申請→「日本人の配偶者等」の在留カード取得
⑤在留資格認定証明書と必要書類を持って在ベトナム日本大使館へ査証申請
⑥査証を持って日本来日、日本生活スタート
日本で暮らすためには国際結婚手続きと在留資格申請の2つの手続きが必要
勘違いしている人が多いですが、国際結婚手続きが完了したからといって日本で暮らせるわけでありません。
国際結婚手続きが完了した後、出入国在留管理局へ在留資格(配偶者ビザ)の申請を行い、在留資格を得て初めて日本で暮らすことができます。
配偶者ビザについての概要を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まずはどちらの国で結婚手続きをするか決める
どちらの国で先に結婚手続きを行うかによって、そろえる資料や申請方法も異なってきます。
また場合によっては、後に控える配偶者ビザの申請にも影響することもあります。
従って、それぞれの手順を確認したうえで、どちらの国で先に結婚手続きを進めるのがお互いにとって一番スムーズかを話し合い、結婚手続きをする場所を決めましょう。
以下の章では、それぞれの国で結婚手続きをした場合について詳しくみていきます。
国際結婚手続きでよく出る用語
国際結婚手続きを説明するにあたって、頻出する用語を3つだけ紹介させてください。
国際結婚手続きー日本で先に手続きする場合
ベトナム人の方がすでに何らかの在留資格を持って日本に在留している場合は、日本で先に手続きをすることをオススメします。
日本で先に婚姻手続きをする場合、以下のような流れになります。
①駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を取得
②日本の市町村役場へ婚姻届けを提出
③必要書類を持って駐日ベトナム大使館へ婚姻の届出(報告的届出)
以下それぞれ詳しく解説します。
①駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を取得
まずは駐日ベトナム大使館・領事館で婚姻要件具備証明書を発行してもらいます。
以下、婚姻要件具備証明書を申請する際に必要な書類です。
駐日ベトナム大使館が婚姻要件具備証明書の発行に求める必要書類は変更になっている場合や、個々のケースによって異なる場合があります。
申請に行く際は、事前に確認してから行きましょう。
②日本の市町村役場へ婚姻届けを提出
婚姻要件具備証明書を取得したら、日本の役所へ婚姻届けを提出しに行きます。
以下、役所に提出する必要書類になります。
役所で婚姻届けを提出したら、後ほど利用しますので婚姻届受理証明書を取得しておきましょう。
なお、婚姻届けの提出書類も、管轄の役所によって若干異なる可能性がありますので、届出先の役所へ事前に問い合わせ行うのが良いでしょう。
③駐日ベトナム大使館へ婚姻を届出(報告的届出)
ベトナム人と国際結婚し、日本で先に婚姻手続きをした場合、駐日ベトナム大使館(領事館)へ婚姻の届出(報告的届出)をする必要があります。
以下、報告的届出をする際の必要書類になります。
報告的届出が終われば、国際結婚の手続きは完了です。
国際結婚手続きーベトナムで先に手続きする場合
ベトナム人の方が現在ベトナムに在住している場合、日本人の方がベトナムに渡り婚姻の手続きをするケースも多いです。
ベトナムで先に婚姻手続きをする場合、以下のような流れになります。
①日本で婚姻要件具備証明書と健康診断書を取得する
②ベトナムの人員委員会で婚姻登録申請を行う
③ベトナムの法務局で面接、婚姻登録
④在ベトナム日本大使館で婚姻届けの提出(報告的届出)
以下それぞれ詳しく解説します。
①日本で婚姻要件具備証明書と健康診断書を取得する
まずは日本で下記の書類を取得する必要があります。
●婚姻要件具備証明書
●健康診断書
それぞれの書類は公的機関で認証してもらう必要があります。
以下、それぞれの書類の詳細を解説します。
婚姻要件具備証明書
婚姻要件具備証明書は日本の法務局で取得できます。
婚姻要件具備証明書の有効期間は6か月です。
以下、証明書を請求する際の必要書類です。
また、婚姻要件具備証明書は以下の機関で認証を受ける必要があります。
・在ベトナム日本大使館(公文書上の印章証明書)
・ベトナム外務省領事局
認証を受けたら、地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳を取得して完了です。
健康診断書
ベトナムで婚姻手続きを行うには、公立総合病院が発行した健康診断書を提出する必要があります。
日本の病院で健康診断書を取得した場合、各機関から認証等を受ける必要があります。
①公証役場(公証を受ける)
②法務局(上記証書が有効であることの証明を受ける)
③日本の外務省または在ベトナム日本大使館(公文書上の印章証明書)
④在日ベトナム大使館またはベトナム外務省領事局(認証を受ける)
認証を受けた健康診断書は、地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳します。
提出書類の詳細は在ベトナム日本大使館のHPをご覧ください。
②ベトナムの人民委員会で婚約登録申請を行う
婚姻要件具備証明書を取得したら、ベトナムへ渡航し、ベトナム人の方の本籍を管轄する地方人民委員会司法局へ婚姻登録申請を行います。
登録の際は、当事者のどちらか一人が窓口で申請します。
以下、婚姻登録申請の必要書類となります。
③ベトナムの法務局で面接、婚姻登録
婚姻登録の申請が受理されると、15日以内に面接が行われます。
その際、当事者2人とも出席する必要があります。
この面接の後、25業務日内に婚姻登録が行われます。
④在ベトナム日本大使館で婚姻届けを提出
婚姻登録が終了後、3月以内に婚姻の届出をする必要があります(報告的届出)。
婚姻の届出は、在ベトナム日本大使館、または帰国後に日本の市区町村で行うことができます。
在ベトナム日本大使館は公式HPで日本大使館での手続きを進めています。
以下、婚姻を届け出る際の必要書類です。
詳しくは在ベトナム日本大使館のHPをご覧ください。
これで結婚手続きは完了です!
結婚手続き後は在留資格の申請をしよう
結婚手続きを済ませただけでは日本に適法に在留することはできません。
結婚手続き後は、出入国在留管理局(入管)へ在留資格の申請をして、在留資格を取得して初めて日本に適法に在留することができます。
ここでは、ベトナム人の方が現在ベトナムにいる場合と、既に何らかの在留資格を持って日本に在留している場合に分けて、申請手続きの概要を解説していきます。
ベトナム人の配偶者が現在ベトナムにいる場合
この場合、日本人配偶者の方がベトナム人の方の代理で、入管へ在留資格認定証明書交付申請をする必要があります。
申請方法に関しては、当サイトの記事でわかりやすく解説してありますので、自力でやる場合はぜひ参考にしてみてください。
認定申請の必要書類↓
在留資格認定証明書交付申請の書き方↓
質問書の書き方↓
身許保証書の書き方↓
在留資格認定証明書を取得したら在ベトナム日本大使館へ査証を申請する
在留資格認定証明書を取得したら、それを在ベトナム日本大使館へ持参して、査証申請を行います。
なお、在留資格認定証明書の有効期限は発行から3か月なので、期限が切れる前に査証申請をしましょう。※コロナの影響で有効期限が異なる場合があるので要確認
そこで査証が下りれば、パスポートと査証を持っていよいよ来日です✈
以下、査証申請の必要書類になります。
査証申請の詳細はこちら在ベトナム日本大使館のHPを確認してください。
現在はコロナウイルスの関係で査証申請の必要書類や手続き内容が変更になっている可能性があるため、査証申請の前には事前に確認してください。
ベトナム人の配偶者が既に日本に在留している場合
ベトナム人の方が、既に中長期の在留資格を持って日本に在留している場合は、婚姻手続き後に入管へ在留資格変更許可申請を行います。
変更申請方法に関しては、当サイトの記事でわかりやすく解説してありますので、自力でやる場合はぜひ参考にしてみてください。
在留資格変更申請完全ガイド↓
在留資格変更許可申請書の書き方↓
変更申請の場合、新しい在留カードを取得すれば手続きは完了です。
まとめ
今回はベトナム人の方と国際結婚する場合の情報をまとめてみましたが、参考になりましたか?
国際結婚はいざするとなると、やらなければならない手続きが多く色々面倒くさいです。
もし面倒な手続きを丸投げしたいという方は、国際結婚に詳しい行政書士へ頼んでみてもいいかもしれません。
相談は無料なので、下のリンクからお気軽にどうぞ!