経営管理ビザから永住権を取得したい。
この記事はそんな人に向けて書いています。
経営管理ビザを持つ人が永住権を取得する為に知っておくべき永住許可の条件や必要書類まで、ビザ申請の専門家である行政書士が徹底的に解説していきます。
目次
経営管理ビザから永住権を取得する
日本で起業している方や、企業で役員をしている外国人が持つビザが「経営管理」です。
経営管理ビザから永住許可申請をする際の条件は、他の就労ビザから永住申請をする際の条件と大きく異なりません。
ただし、経営者ならではの永住許可の必要条件(要件)はありますので、それも交えつつ以下で詳しく解説をしていきます。
永住申請をする前に、まず確認してほしいこと
経営管理ビザから永住申請をする前に、まず確認してほしいことは以下の2点です。
- 配偶者が日本人か、または配偶者が永住者の在留資格を持っているか
- 高度専門職のポイント計算で、70点を超えているか
もし上記のいずれかに当てはまれば、永住申請の必要在留期間が緩和される可能性があります。
配偶者が日本人か、または配偶者が永住者の在留資格を持っているか
現在あなたが経営管理ビザで在留していても、あなたの配偶者が日本人や永住者の場合、永住の要件が緩和されます。
上記に該当する場合、あなたは「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている人と同等とみなされます。
その結果、実態を伴った婚姻が3年以上継続し、引続き1年以上日本に在留していれば永住申請が認められるようになります。
高度専門職のポイント計算で、70点を超えているか
現在の在留資格が「高度専門職」でない場合でも、ポイント計算の結果合計70点以上あれば必要在留期限が緩和されます。
ポイントの合計が70点以上80点未満の場合
この場合、引続き3年以上の在留で永住権の申請ができるようになります。
なお、永住許可申請日から3年前の時点を基準として、ポイントが70点以上ある必要があります。
ポイントの合計が80点以上の場合
この場合、引続き1年以上の在留で永住権の申請ができるようになります。
より詳しくいうと、永住許可申請日から1年前の時点を基準として、ポイントが合計80点以上ある必要があります。
該当する人は以下の記事が参考になります。
永住許可申請の概要
経営管理ビザから永住許可申請を行う人のために、永住許可申請の概要をまとめました。
【永住許可申請の概要】
申請者 | 申請人本人、取次者、法定代理人など |
---|---|
申請先 | 住居地を管轄する地方出入国在留管理局 |
申請難易度 | 高 |
審査期間 | 4か月~ |
申請手数料 | 8,000円 (許可時) |
永住申請のメリット | ・就労制限なし
・在留期限なし ・ローンが受けやすい ・家族も永住権を取得しやすくなる ・・・etc |
【永住申請の審査期間】行政書士から期間短縮のためのアドバイス
経営管理ビザから永住権を取得する為の条件
永住許可の判断は、法務大臣の自由裁量でなされます。
「経営管理」の在留資格を持つ外国人が許可を得るためには、大きく4つの条件をクリアする必要があります。
①素行が善良であること
②独立して生計を立てることができる資産や技能があること
③日本の国益に合うと認められること
④身元保証人がいること
以下詳しく見ていきましょう。
素行が善良であること(素行善良要件)
日本の法令をしっかり守って日常生活を送れていれば問題ありません。
この素行善良要件では2つの要件をクリアする必要があります。
- 日本の法令に違反して、懲役・禁固または罰金に処されたことがないこと
- 日常生活、社会生活において違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと
日本の法令に違反して、懲役・禁固または罰金に処せられたことがないこと
原則過去に日本で逮捕され、罰金刑以上の判決が下りた場合は素行善良とみなされず、永住権は許可されません。
しかし以下ケースのように、判決を受けてから一定期間経過した場合は永住の許可が下りる可能性があります。
- 刑務所から出所後10年が経過したとき
- 執行猶予期間が満了してから5年が経過したとき
- 罰金の支払いを終えてから5年が経過したとき
上記期間の経過を待ってはじめて永住許可申請ができるようになります。
日常生活、社会生活において違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと
「違法行為」や「風紀を乱す行為」とは
- 交通違反
- 日本在住の家族に対する監督不十分
が挙げられます。
過去5年で5回以上取り締まりに合っていると「違法行為を繰り返し行っている」とみなされます。
申請者の配偶者や子供が家族滞在ビザを持って日本にいる場合は注意が必要です。
家族滞在ビザでは原則働くことが認められておらず、「資格外活動許可」を取得した場合のみ、週28時間以内で就労することができます。
万が一配偶者や子供が上記の制限を超えて働いている場合、永住申請者本人も「監督不十分」として、違法行為をしているとみなされてしまいます。
独立して生計を立てられる資産や技能があること(独立生計要件)
独立生計要件では、日常生活で公共の負担とならず、安定した生活が見込めていることが必要とされます。
国は主に以下のポイントに着目し、独立生計能力の有無を判断しています。
- 収入
- 扶養人数
収入
独立して生計を立てていけるか判断する上で、収入は重要な指標です。
一般的に就労系ビザで在留している場合、過去5年間にわたって年収が300万円以上あるというのが一つのハードルとされています。
経営者の場合、役員報酬で年間最低300万円は確保したいところです。
経営管理ビザを持つ外国人は、自己の収入以外にも会社の安定性と継続性を証明することが大事になってきます。
赤字が続いている場合や、債務超過に陥っている場合は安定性がないと判断され、永住申請が不許可になる恐れもあります。
扶養人数
扶養人数によって永住許可の必要年収のハードルは上がります。
1人増えるごとに、必要年収300万円+約70万円必要です。
日本の国益に合うと認められること(国益適合要件)
国益適合要件とは、永住申請をする外国人が日本の利益に合うと認められる必要があるということです。
国益適合の有無は、以下の5つの条件を満たすかどうかで判断します。
- 必要年数以上継続して日本に在留していること
- 納税などの公的義務を果たしていること
- 現在持っている在留資格について最長の在留期間があること
- 公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと
- 著しく公益を害する行為をする恐れがないと認められること
必要年数以上継続して日本に在留していること
経営管理日ビザ所有者の場合、引続き10年以上日本に在留し、このうち就労資格をもって5年以上経過していることが必要です。
例えば「留学」の在留資格で5年、「経営管理」の在留資格で5年在留していればOKです。
就労資格をもって引続き5年以上の在留が必要な為、途中で会社を休眠している場合、経営再開の時点から再度5年の経過を待つ必要があります。
納税などの公的義務を果たしていること
住民税や国民健康保険税、国民年金等をしっかり期限通りに支払っているかどうかが重要です。
経営者の場合、個人の税金に加えて会社としての納税義務もあります。
例えば、
- 法人税
- 消費税
- 事業税
- 法人住民税
などが挙げられます。
個人のそれと比べても税目は多いため、経営者は特に気を付けなければなりません。
特に期限通りに支払いができているかが重視され、1日でも遅れてしまった場合は不許可の恐れがあります。
支払い忘れ防止のためにも、口座自動引き落とし制度を利用することをオススメします。
現在持っている在留資格について最長の在留資格があること
法律上、最長の在留期間は「5年」です。
しかし2022年現在、「3年」の在留期間があれば永住権申請はすることができるとされています。
いまだ「1年」の在留期間しか持っていない人は、「3年」の在留期間がもらえるまで更新をする必要があります。
公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと
具体的には、大麻や覚せい剤の慢性中毒者が該当します。
その他、エボラ出血熱、痘そう、ペストや指定感染症、新感染症などをり患している人は、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあるとみなされます。
著しく公益を害する行為をする恐れがないと認められること
これは上記の「素行善良要件」の内容と重なります。
身元保証人がいること
身元保証人を必ず用意する必要があります。
申請者は、以下の条件に該当する人を身元保証人として選ばなければなりません。
【身元保証人になれる人】
・日本人
・日本の永住権を持っている外国人
【身元保証人に求められること】
・職についていること
・年収300万円以上(が好ましい)
・住民税等の税金を納めていること
※2022年6月より提出書類が緩和されたことにより、上記を証明する書類が提出不要となりました。
身元保証人の保証内容は外国人の法令順守、公的義務を履行するため必要な支援を行うことです。
ここでいう身元保証とは、いわゆる借金の肩代わりをするような連帯保証ではありません。
万が一身元保証をした外国人が法令順守せずに逮捕された場合でも、身元保証人が責任を負うという種のものではないのです。
永住申請に必要となる書類
永住許可申請に必要な書類はケース別に出入国在留管理庁のホームページに掲載されています。
しかし、入管のHPに掲載されているのはあくまで申請に最低限必要な書類です。
より永住権の許可率を高めるためには、最低限の書類以外にも、個々の状況に応じた必要書類を作成・収集していく必要があります。
以下は実務上よく提出する必要書類の一覧です。
【自分で作成する書類】
- 永住許可申請書
- 申請理由書
- 了解書
【自分で用意する書類】
- 証明写真
- 在留カード
- パスポート
- 自宅の賃貸契約書のコピー
- 預金残高が確認できるもの
- 健康保険証のコピー
- 住民税を納めていたことが分かる領収書または通帳の写し(住民税を自分で支払っている場合)
- 国民年金保険料の領収書写し(直近2年間に国民年金に加入していた方)
- 国民健康保険の領収書写し(直近2年間に国民健康保険に加入していた方)
- 確定申告書の写し
【各役所で発行してもらう書類】
- 住民票
- 住民税の納税証明書
- 住民税の課税証明書
- 国税の納税証明書
- ねんきん定期便、またはねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面(厚生年金に加入している方)
- 国民健康保険料納付証明書(国民健康保険に加入している方)
- 法人の登記事項証明書
- 不動産の登記事項証明書(持ち家の場合)
【身元保証人に作成・収集してもらう書類】
- 身元保証書
- 身元保証人の身分証明書写し
申請に必要な書類については以下の記事で詳しく書いています。
経営管理から永住許可申請をお考えの方は
経営管理から永住許可申請をする場合、書類収集や作成にかかる労力はハンパじゃありません。
「仕事も忙しいのにそんな時間ないよ。」
経営者は特に忙しくて大変ですよね。
そんな方は、面倒な書類作成を行政書士に外注してみるのはどうですか?
時間と労力は節約できるし、行政書士はビザ申請のプロなので、自力で申請するより許可率が上がります。
相談料はもちろん無料なので、ビザ部の行政書士にもお気軽にご相談ください。