外国人の旦那さんや奥さんがいて、これから一緒に日本で暮らしていきたい人にとって、配偶者ビザはどうしても手に入れたい物でしょう。
しかし、配偶者ビザの審査は最近は特に厳しく審査されており、残念ながら不許可になってしまう人も一定数いるのも確かです。
配偶者ビザを勝ち取るためには、あなたの申請がなぜ不許可になる恐れがあるのか(もしくはないのか)、その理由を理解しておく必要があります。
この記事では配偶者ビザの申請が不許可になる理由と、不許可になるケース・その対応策を、ビザ申請の専門家である筆者が詳しく解説していきます。
・ビザの申請なんて初めてだし、許可が下りるか不安。
・申請前に自分で対策できることが何かしらあればしておきたい。
そんな不安を抱えている人にこの記事は参考になります。
配偶者ビザが不許可になる理由
配偶者ビザが不許可になる理由を簡単に言うと、
申請者の状況が、配偶者ビザが許可されうる基準に達していないから
です。
それではどのような審査基準があるのか、以下まとめました。
配偶者ビザの審査基準
・両国で法的に婚姻が成立しているか
・結婚の信ぴょう性はあるか
・夫婦生活を送るうえで生計面に問題はないか
・外国人申請人の逮捕歴や不法滞在歴など、審査マイナスに働く要素はあるか
配偶者ビザの要件など、基本については以下の記事も参考にしてみてください。
それではそれぞれの基準について詳しく見ていきます。
両国で法的に婚姻が成立しているか
配偶者ビザは、お互いの国で法的に婚姻が成立していなければ申請することはできません。
これは明確な審査基準です。
例えば一方の国だけで婚姻手続きを済ませただけではダメです。
また、事実婚や同性婚では、現在の日本では法的に婚姻しているとは認められません。
配偶者ビザ申請の必要書類については以下の記事をご覧ください。
配偶者ビザの申請するまでには必ず婚姻手続きは済ませておきましょう。
結婚の信ぴょう性があるか
結婚の信ぴょう性の有無は、配偶者ビザの審査基準として重要な部分です。
審査官が申請書類を確認したうえで、結婚の信ぴょう性が無い、又は低いと判断された場合は配偶者ビザは不許可とされてしまいます。
要するに偽装結婚の可能性があると判断された場合は、不許可になる恐れがあるという事です。
例として、以下のようなケースは結婚の信ぴょう性が疑われることがあります。
結婚の信ぴょう性が疑われるケース
・年齢差が15歳差以上ある
・結婚に至るまで会った回数が少ない
・結婚紹介所によるお見合いで出会った場合(特に紹介所がブラックリストに載っている場合)
・外国人配偶者側に過去日本人との離婚歴が複数回ある場合、またはその逆パターン
他にも信ぴょう性を疑われるケースは多くありますが、記事の後半でも詳しく見ていきます。
夫婦生活を送るうえで生計面に問題はないか
日本で夫婦生活を送るための経済的基盤があるかどうかは審査の基準の一つとなります。
申請者の生計面を審査する上でチェックされるポイントとしては
「年収」
「勤続年数」
「預金」
です。
現在勤めている会社に一定期間勤めていて、収入も安定している場合は生計面の審査基準を満たすでしょう。
しかし、収入が年収200万以下の場合や無職の期間が長い場合、この生計面の基準を満たしていると認められず不許可になる恐れがあります。
預金が十分にあれば、現在職を失って収入が無くても、その旨をきちんと説明することで許可が見込めます。
しかし貯金が無く、収入もない場合は難しい申請となるでしょう。
外国人申請人の逮捕歴や不法滞在歴など、審査マイナスに働く要素はあるか
外国人申請者の逮捕歴(罰金刑などの処分を受けたか)の有無や、過去に日本にオーバーステイをしていたことがあるどうかも、許可の可否を決める基準となります。
なお、逮捕歴や日本からの退去強制歴があったら絶対にビザが下りないというわけではありません。
しかし、それらがある場合は不許可のリスクが上がってしまう事は否めません。
配偶者ビザが不許可になるかの見極めが難しい理由
配偶者ビザの申請は年々審査が厳しくなってることもあり、正真正銘の結婚にもかかわらず不許可になってしまう人もいます。
専門家でさえも、許可不許可の見通しが立ちずらく判断が難しいときがあります。
それでは何故このように配偶者ビザは許可・不許可の見通しが立ちずらいのか。
それは、そもそもビザの審査自体が行政(国)の裁量によるところが大きいからです。
行政の裁量とは
具体的な審査基準は決まっておらず、法律が行政機関に独自に判断する余地を与えて、一定の処分の自由を認めること
行政の裁量によるところが大きい=明確が答えがありません。
これさえやっておけば申請が必ず認められるという答えが無いのです。
従って、
・過去の不許可(許可)事例に学ぶ
・配偶者ビザ許可の妥当性をアピールするための書類を出来るだけ多く提出する
という事が重要になってくるのです。
この記事では引き続き配偶者ビザが不許可になりやすいケースを学んでいきます。
配偶者ビザが不許可になりやすいケースと対応策
それでは、不許可になりやすいケースと対応策を個別にみていきましょう。
1.夫婦の年齢差が大きい場合
夫婦の年齢差が大きく離れている場合、不許可になりやすいです。
15歳以上離れていると、結婚の信ぴょう性に疑義があると判断されることは多いようです。
理由はいくつかありますが、
・通常年齢が離れていることにより価値観等が合いずらくなることが考えられ、偽装結婚を疑われるきっかけとなる
・過去の偽装結婚のケースを見ると年齢差が大きく離れている場合が多い
というのが大きいでしょう。
年齢差がある場合の対応策
申請書に添付する「質問書」や、その別紙である「申請理由書」を提出し、2人の交際の経緯を出来るだけ詳細に説明するように努めます。
・いつ、どのように、何がきっかけで知り合ったのか
・交際中はどのようなやり取りや生活をしていたのか
・なぜ妻(夫)と結婚しようと思ったのか
・なぜ妻(夫)は結婚を受け入れるに至ったのか
・今後どのような家庭を築いていきたいのか
など、二人の交際経緯を出来るだけ詳細に記します。
また、二人の写真や両家の家族で撮った写真など信ぴょう性の高められる資料は必ず提出しましょう。
申請理由書の詳しい書き方は以下の記事を参考にしてみてください。
2.結婚するまでに会った回数が少ない
結婚するまでに合った回数が少ないと、信憑性を疑われて不許可になる可能性が高いです。
特に、今まで一回しかあった事が無い場合や、むしろ一回もあった事が無い場合は偽装結婚を疑われる可能が非常に高いです。
結婚するまでに会った回数が少ない場合の対応策
金銭的な問題もあるかもしれませんが、申請前に出来るだけ会うようにしましょう。
最低2回は欲しいです。
どうしても会えない理由がある場合はその理由を理由書で詳細に説明しましょう。
会った回数が少ない状態で申請する場合は、出来るだけ長いだ頻繁にやり取りを取っていることを証明できるLINEやSkypeなどの通信記録を提出した方良いです。
3. 結婚紹介所によるお見合いによる結婚
国際結婚紹介所によるお見合いの場合も注意が必要です。
何故なら、過去に国際結婚紹介所で出会ったケースで、来日してから結婚の実体が伴っていないことが発覚したことが多かったからです。
残念ながら実際には、日本のビザ目的でそのような結婚相談所に登録する外国人は多いようです。
お見合いによる結婚の対応策
まずは、正真正銘の結婚であったとしても、入管は疑ってかかってきていると思って申請に臨んだ方が良いでしょう。
結婚紹介所については、質問書もしくは申請理由書などで、
・紹介所の概要
・運営者情報や登録者の傾向・規模
・登録する際の審査基準
・紹介についての流れ
詳しく説明します。
もちろんその他にも結婚の経緯も詳細に説明しましょう。
また、この場合もできるだけ配偶者ビザの申請前にお互いに会う回数を増やしていきましょう。
会った回数が増えれば増えるほど、正当な結婚であると証明することが容易になります。
4.出会い系サイトで出会う
最近ではマッチングアプリを通じて結婚するカップルは世界的にも増えているので、それ自体に違和感はないですが、ビザの申請となるとそうはいきません。
実際、出会い系サイトには日本ビザ目的の外国人が紛れていることもありますので、出入国在留管理局は未だに出会い系サイト経由で知り合った申請者に対して警戒を強めています。
出会い系サイトで出会っている場合の対応策
利用した出会い系サイトについて、以下のような詳細を説明します。
・紹介所の概要
・運営者情報や登録者の傾向・規模
・セキュリティー対策や匿秘性
・登録する際の審査基準
何故そのサイトを利用しようと思ったか、当時の心情を書くのもオススメです。
また、出会い系サイトでの出会いから結婚に至るまでの経緯も詳細に説明し、それを裏付ける資料も添付するようにしましょう。
5.知り合ってからの期間や交際期間が短い
知り合ってからの期間や交際期間が短い場合は不許可になる可能性があります。
交際期間が短いとは、初めて出会ってから3か月以内に結婚する場合等が該当します。
日本人同士であったとしても交際期間が短い場合は周囲から心配されることが多いと思いますが、これが国際結婚の場合はなおさらで、偽装結婚の懸念が大きくなります。
要するに、本当の偽装結婚は交際期間など必要としないため、交際期間が短いと偽装結婚の疑義が生じてしまうのです。
交際期間が短い場合の対応策
この場合も質問書・申請理由書で二人が結婚に至った経緯を詳細に説明します。
それに加えて、正真正銘の結婚でであることを裏付けるスナップ写真や通信履歴などの資料を提出するようにします。
また、交際期間が短い場合でも渡航回数を増やして出来るだけ会う回数を増やしていくのが理想です。
6.日本人側に過去外国人との離婚歴が複数ある
このような場合も不許可リスクが高まります。
何故なら、出入国在留管理局が外国人との離婚歴が多い日本人は偽装結婚に加担してる可能性があると疑ってくるからです。
現に、ビザ目的で外国人からお願いされて偽装結婚をして、その事実が発覚しそうになると離婚をする、という事を繰り返している悪質なケースもあるのです。
離婚歴がある場合の申請について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
外国人と離婚歴が複数ある場合の対応策
まずは過去の離婚の経緯を書面で詳細に説明します。
・なぜ前婚、前々婚は離婚に至ってしまったのか
・なぜ再婚しようと思ったのか、なぜその相手なのか
・前婚の事を再婚相手は理解しているのか
など、詳細に記載しましょう。
また、過去の離婚の原因となった資料(浮気の証拠写真・DVによる診断証明書など)を提出するとよいです。
7.日本人側の年収が少ない
例え結婚の信ぴょう性は認められたとしても、日本人側の年収が低い場合、配偶者ビザが不許可になる可能性があります。
上記でも解説した通り、日本で夫婦生活を送るうえでの経済的基盤は配偶者ビザの審査において非常に重視されます。
日本人配偶者に収入が無い場合、結婚生活は近いうちに破綻することが懸念されます。
そして万が一そのようなことが起き、外国人配偶者がいる世帯が生活保護を受けざるを得ない状況になることは、日本の国益にそぐないので国としては避けたいでしょう。
そのため出入国在留管理局は日本人の収入に対して厳しく審査を行うのです。
日本人側の収入が少ない場合の対応策
現在失職中で、求職をしている場合は失業手当の有無や、求職活動の状況を詳細に説明しましょう。
貯金や持ち家がある場合は、それで生活が賄えるという事を証明できるよう説明し、証明資料は添付します。
また、自身で補う事ができない場合、親族等にお願いする必要が出てきます。
援助の了承を得られた場合、以下の書類を申請書と共に添付する必要が出てきます。
・援助者による身元保証書
・援助者の在勤証明書
・援助者の収入証明書
8.一緒に写っている写真やLINE等の通信記録を残していない
一緒に写っている写真や通信記録を残していない人は不許可になりやすいです。
何故なら、それらの写真や通信記録は夫婦二人の関係を裏付ける大事な証拠として申請時に提出する必要があるからです。
例え正真正銘の結婚だとしても、写真や通信記録が無いとその信憑性が疑われてしまう恐れがあります。
またそれらの証拠資料が無ければその疑義を晴らすことも難しくなってしまいます。
写真や通信記録が無い場合の対応策
今までの記録を残してこなかったことは、もうどうしようもありません。
これから写真を沢山撮るようにしてください。
特に旅行に行った際や、友人を交えての写真などは積極的に撮るようにしましょう。
交際の信ぴょう性を高める大事な証拠資料となります。
また、通信記録は例えスマホを無くしても大丈夫なように、クラウド等に保存するようにしましょう。
撮りためた写真や通信記録は、申請書を提出した後でも追加の資料として提出が可能です。
過去のものが無い場合、これからの積み重ねが大事です。
まとめ
本記事では配偶者ビザが不許可になってしまう理由や、具体的なケースと対応策を紹介していきましたが参考になりましたでしょうか。
配偶者ビザを勝ち取るためには、不許可になってしまう理由やケースを学んでいくことは大切です。
また、ビザが不許可になるかもしれないとどうしても心配な人は、ビザの専門家に依頼するのも一つの手です。
買える時間はお金で買ってしまったほうが良いことが多いです。