配偶者ビザを取ると、どんな仕事でも就けるようになる?
日本にいる外国人の配偶者には就労の制限はある?
今回の記事では、配偶者ビザと就労の関係について解説していきます。
ちなみに筆者は、ビザ申請を専門とする行政書士なので、ビザ申請に関しては詳しいです。
<この記事が参考になる人>
・海外にいるパートナーと日本で暮らしたい人
・日本人と結婚して日本に暮らしているが、ビザをいまだ配偶者ビザに変更していない人
・配偶者ビザの詳細について詳しく知りたい人
目次
そもそも配偶者ビザとは
ここで、配偶者ビザの定義をはっきりしておきましょう。
ここで言う配偶者ビザとは、日本人の配偶者等という在留資格の事を指します。
人によっては「結婚ビザ」という人もいますが、この結婚ビザも同じく日本人の配偶者等という在留資格の事を指しています。
詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてみて!
配偶者ビザの概要については以下に簡単にまとめてみました。
<類型>
地位型類型資格(外国人の地位による類型・資格)
<該当者>
・日本人の配偶者
・日本人の子として出生した者(両親は結婚していなくても良い)
・特別養子
<在留期間>
5年,3年,1年又は6月
なお、配偶者ビザは国際結婚をすると当然に付与されるものではなく、国際結婚手続きを済ませてから改めて出入国在留管理庁に申請を行うことで取得することができます。
配偶者ビザついては詳しく以下のページで解説していますので、興味のある方はご覧ください。
配偶者ビザを持っていると日本で就労することができるか
ずばり、配偶者ビザを持っていると、日本で無制限に就労する資格が認められます。
どんな業種だろうと、何回転職しようと、何時間残業しようと、入管からお咎めをくらう事はありません(法律違反をしないことは大前提ですが)。
なので配偶者ビザはかなり自由度の高い在留資格といえるでしょう。
ちなみに在留資格には、配偶者ビザのように無制限で就労することができる資格と、業務限定で就労できる資格、基本的に就労できない資格があり、それぞれ特色があります。
以下、各特徴ごとにグループ分けしましたので、参考にしてみてください。
<業務限定就労可能資格>
外交、公用、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理・法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習、特定活動の一部
<無制限就労可能資格>
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
<就労不能資格>
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動の一部
※上記の資格に該当しても「資格外活動許可」を取得すれば、決められた時間内であれば就労することが可能です。
勘違いされるケース:外国人の配偶者は就労することはできるか
たまに勘違いされているケースは、在留資格を持って、日本に適法に在留している外国人の配偶者も就労する事できるよね?という事です。
結論、外国人の配偶者は原則就労することはできません。
日本に在留する外国人の配偶者は原則就労することはできませんが、以下の場合は就労することができます。
・資格外活動許可を取得した場合
・外国人が日本の永住権をもっており、その配偶者が「永住者の配偶者等」という在留資格を取得している時
外国人の配偶者として海外から呼び寄せる場合は、「家族滞在」として、在留資格を申請することになります。
家族滞在は原則就労が許されていない在留資格です。
「配偶者」というワードに引っ張られる気持ちはわかりますが、日本人の配偶者等とは異なる在留資格となりますので、ごっちゃにしないようにしましょう。
メリットが多い配偶者ビザ
現在日本に在留している外国人で就労系のビザをすでに持っている場合、日本人と結婚したからといって必ずしも配偶者ビザに変更しなければならないわけではありません。
実際、ビザの変更をすることなく、今まで通り働いている人も一定数いるかと思います。
しかし、上でも触れた通り、配偶者ビザを取得すると就労の制限がなくなる等のメリットが多くあります。
以下に配偶者ビザを取得するメリットを紹介します。
就労制限がなくなる
これはもう説明しましたね。
他の就労ビザと異なり、無制限に働くことができるのでメリット大です。
仕事を辞めても、転職してもビザが取り消されることはない
他の就労ビザの場合、仕事を辞めるとビザが取り消されてしまうリスクが合ったり、転職の度にビザの手続きが必要になる場合があります。
しかし、配偶者ビザを取得すればもうその心配はありません。
仕事を辞めても、転職をしても、手続き不要で日本に引き続き滞在することができます。
永住許可条件のハードルが下がる
日本に滞在している外国人の中には、将来的には日本でずっと暮らしていきたいという願望を抱いている人も多くいます。
配偶者ビザを取得すると(日本人との婚姻生活を継続していると)、永住権取得のハードルが下がります。
本来永住許可を取得する為には、原則10年以上日本に在留している必要があります。
しかし、日本人との婚姻歴が3年以上あれば、日本に引き続き1年以上滞在しているだけで、永住権の要件クリアとなります。
この場合、必ずしも配偶者ビザを取得していなくても、永住の要件は緩和されます。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留している場合であっても、
日本人と実体がある婚姻生活が3年以上継続していて、引き続き1年以上日本に在留しているのであれば、永住権取得のための要件は満たしていると考えます。
日本での起業が容易になる
本来外国人が日本で会社を設立して経営を行っていく場合、「経営・管理」という在留資格が必要になります。
しかし、配偶者ビザを取得すれば、経営・管理を取らずとも日本で会社経営を行うことができますので、日本での起業の手続きが容易になります。
このように、配偶者ビザを取得するメリットは大きいので、現在就労系の在留資格を持っていてる外国人が日本人と結婚したのであれば、出来るだけ早く配偶者ビザに変更する事をオススメします。
まとめ
今回の記事では、配偶者ビザと就労の関係について解説していきましたが、分かりやすいと思って頂けたら幸いです。
それでは、最後に本記事の要点をまとめました。
<この記事のまとめ>
・配偶者ビザ(日本人の配偶者等)を取れば、無制限で就労することができる。
・外国人の配偶者は「家族滞在」という在留資格で日本に滞在することになるので原則就労はできない。混同しないように。
・無制限で就労することができる以外にも、配偶者ビザを取得すると多くのメリットが存在する。