「技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、外国人が日本で働くことができる、いわゆる就労ビザの中でも代表的なものです。
この記事では「技術・人文知識・国際業務」の在留期間について、ビザの専門家である行政書士が分かりやすく解説していきます。
- 「技術・人文知識・国際業務」の在留期間
- 在留期間は「3年」以上あった方が良い理由
- 3年の在留期間をもらうために気を付けるべきこと
目次
技術・人文知識・国際業務の在留期間
在留期間とは、在留資格(ビザ)をもって日本に在留する外国人が、日本に適法に在留することのできる期間のことをいいます。
永住権などを除く多くの在留資格では、在留期間が決められています。
就労ビザの代表ともいえる「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、
3か月、1年、3年、5年
のいずれかとなります。
いきなり5年の在留期間をもらうことは可能?
在留資格の更新は面倒だし、多くの外国人はできるだけ長い期間日本で働きたいわけですから、在留期間は長いに越したことはありません。
しかし、いきなり5年の在留期間はともかく、3年も難しいパターンが多いです。
出入国在留管理庁(入管)は、ひとまずビジターには短期の在留期間を与え、日本での活動の様子をみてから、更新の際に可能であれば在留期間を延ばそうということなのだと思います。
実際に、多くの外国人が初めて手にする在留資格の期間は「1年」となります。
したがって、初めての在留資格の期間が1年だとしても、「そんなもんだ」と思っていれば良いでしょう。
在留期間が「3年」以上になるメリット
在留期間が3年以上になるメリットは、単により長く日本に滞在できるだけではありません。
一番のメリットは、日本の永住権が申請できるようになることです。
永住申請では、
現に有している在留資格について、最長の在留期間を有していること
が要件の一つとなります。
法律上の最長の在留期間は5年ですが、実務上3年の在留期間を有している場合は、最長の在留期間を有しているとみなされます。
従って、3年の在留期間のある在留資格を取得すると、永住ビザの申請権利の一つを取得することができるのです。
永住権の申請には、在留期間以外にも多くの要件があります。
詳しく知りたい方は永住権に関する記事もチェックしてみてください。
在留期間を3年以上に延ばすために、4つのことに気を付けよう
人によっては1度の更新で「3年」の在留期間がもらえることもあれば、何回更新しても「1年」のままという人もいます。
残念ながら、「これをすれば絶対3年以上の在留資格がもらえる!」という必勝テクニック的なものはありません。
しかし、今より長い在留期間をもらうために、日ごろから気を付けるべきことが4つあります。
- 法律上の届出義務を果たす
- 税金、年金、健康保険等の公金を期限通りに支払う
- 交通違反等に気を付ける
- 転職に気を付ける
上記は在留期間を延ばすだけでなく、将来永住申請をするうえでも非常に重要になってくることなので、今から意識しておくと良いです。
法律上の届け出義務を果たす
3年以上の在留期間を得るためには、法律で定められた届け出義務を果たしているかも重要になってきます。
例えば引っ越しをした際の在留カードの記載事項変更。
入管法では新居に移転した日から14日以内に住居地の変更届を行わなければならないとされています。
ここを疎かにしてしまうと、3年以上の在留期間の取得は難しくなってしまいます。
法律で定められた届出は、必ず期限内に手続きを行うようにするようにしましょう
税金・年金・健康保険等の公金を遅れずに支払う
公金の支払いを期限内に支払う事もとても重要です。
これは在留期間を延ばすだけでなく、その先の永住権申請の際にも非常に重要な審査項目となります。
確かに、ちゃんと支払うつもりでいても、うっかり支払い忘れてしまったという事も起こり得ると思います。
しかし、それが原因で在留期間が1年のままだったり、永住申請の審査が不利になってしまうのは非常にもったいないです。
できれば公金支払いは口座振替に設定して、自ら支払い忘れを防止できるような仕組みを作っていくのがオススメです。
交通違反等に気を付ける
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の更新審査の際には、当然現在までの日本での在留状況もチェックされます。
罰金以上の判決を受けてしまうような犯罪はもってのほかですが、軽く考えがちな交通違反なども、積み重ねてしまうとビザの審査に影響が出てしまいかねます。
「在留期間を延ばしたい」、「将来永住申請をしたい」と考えている方は、いっそのこと始めから車やオートバイに乗らないというのも1つの手です。
転職に気を付ける
転職は常にマイナス評価であるというわけではありません。
転職によって年収が上がるようなキャリアップ転職ならアリです。
しかしキャリアアップ以外の転職では、「生活(仕事)が安定していない」と判断され、在留資格の更新は認められても在留期間は「1年」のままということはよくあります。
どうしても職場が合わなかったり、やむを得ない理由で転職するのは仕方のないことですが、在留状況の評価に響く恐れがあるということは知っておいた方が良いかもしれません。
まとめ
本記事では、在留資格の一つである「技術・人文知識・国際業務」の在留期間について解説しました。
現在日本に在留している方は、日々の生活態度や支払いの遅延に気を付け、是非とも「3年」以上の在留期間を目指してほしいと思います。