就労ビザ

これだけ抑えればOK!就労ビザ【技術・人文知識・国際業務】とは

外国人が日本で働くためには、就労可能な在留資格(就労ビザ)が必要です。

この記事では、代表的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」について、ビザ申請に詳しい行政書士が解説していきます。

この記事でわかること
  • 「技術・人文知識・国際業務」とはどのような在留資格なのか
  • どのような職種があるのか
  • どのような外国人がこの在留資格を取得できるのか
  • 申請の流れ
  • 申請の必要書類

技術・人文知識・国際業務とは

外国人が日本で働くには、在留資格を取得する必要があります。

外国人が就労可能な在留資格について、世間では一般的に「就労ビザ」と言ったりしますが、本来は在留資格としてそれぞれに対応する名称があります(在留資格について詳しくはこちら)。

いわゆる就労ビザと言われている在留資格には、

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 技能
  • 企業内転勤
  • 経営・管理

が主に挙げられます。

この記事では「技術・人文知識・国際業務」について深掘りしていきます。

要するに、専門知識を活かしたホワイトカラーの仕事

「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本でホワイトカラーの仕事に従事する為の在留資格です。

したがって、この在留資格には多くの職種が該当します。

以下では技術、人文知識、国際業務をそれぞれ分解してより詳しく見ていきます。

技術

「技術」の分野とは、簡単にいえば理系分野です。

「技術」に該当する活動とは、

大学などで理系科目を専攻するか、長年の実務経験を通して習得した専門技術・知識を有していなければ行うことができない業務に従事する活動

をいいます。

理系科目は多種多様ですが、例えば数理科学、化学、物理学、生物化学、人類学、電子工学、地理学などが挙げられます。

「技術」の分野に該当する職種としては以下のようなものがあります。

  • システムエンジニア
  • プログラマー
  • 航空機の整備(航空宇宙工学の技術・知識を必要とするもの)
  • 精密機械器具の設計・開発
  • CADオペレーター
  • PCゲームの開発

 人文知識

「人文知識」の分野とは、文系分野です。

「人文知識」の分野に該当する活動とは、

学術上の素養を背景とする、一定水準以上の専門的知識を必要とする文化系の活動

をいいます。

理系同様、文系科目も挙げたらキリがないですが、例えば法律学、経済学、会計学、経営学、商学、歴史学、心理学などが挙げられます。

「人文知識」の分野に該当する職種としては、

  • 経理
  • 金融
  • 営業
  • 人事
  • 法務
  • 総務
  • コンサルティング

などがあります。

 国際業務

「国際業務」は、人文知識と同じく文系分野になるでしょう。

「国際業務」に該当する活動とは、

外国の文化に基盤を有する思考、もしくは感受性に基づく一定水準以上の専門能力を必要とする文化系の活動

をいいます。

「国際業務」に該当する職種としては、

  • 翻訳
  • 通訳
  • 語学教員
  • 広報・宣伝
  • 海外取引業務
  • 商品開発
  • デザイン

などがあります。

外国人が「技術・人文知識・国際業務」を取得するための6つのポイント

外国人が日本で働くために必要な在留資格を取得しようとする場合、大きく6つのハードルをクリアする必要があります。

  • 学歴について
  • 職務内容と専攻の関連性について
  • 実務経験について
  • 必要性について
  • 報酬について
  • 単純就労について

それぞれ解説します。

学歴について

外国人を雇用する場合、まず学歴を確認しましょう。

・大学を卒業してるかどうか

日本の専門/専修学校を卒業しているかどうか

がポイントになります。

以下で説明しますが、高卒以下の場合でも、長い実務経験があれば申請は許可される可能性はあります。

しかし実際、実務経験を根拠に申請をするケースはあまり多くありません。

したがって、まずは大卒か、専門卒かどうかが一つのハードルとなるでしょう。

日本で日本語学校を卒業しただけでは、この要件をクリアしたことにならないので要注意です。

職務内容と専攻の関連性について

大学や専門学校で専攻した科目と職務内容には関連性が必要です。

関連性の有無は専攻科目だけでなく、実際に履修した科目の内容も考慮されます。

専攻と職務内容の関連性の例として、以下に許可事例を紹介します。

【許可事例】

・外国人の母国で工学を専攻して大学を卒業し、ソフトウェア会社に勤務した後、日本のソフトウェア会社から月額約35万円の報酬を受けて,ソフトウェアエンジニアとしてコンピュータ関連サービスに従事するもの

・日本の大学に留学生として入学し、工学部を卒業した後、電機製品の製造を業務内容とする企業で技術開発業務に従事するもの

・日本の大学に留学生として入学し、法学部を卒業した後、法律事務所で弁護士補助業務に従事するもの

・日本の大学院で国際関係学を専攻して修了した後、日本の航空会社から月額約20万円の報酬を受け、語学を生かして空港旅客業務及び乗り入れ外国航空会社との交渉・提携業務等の業務に従事するもの

大卒者と専門卒者の違い

出入国在留管理庁では、大卒者の専攻・履修科目と職務内容の関連性については、比較的緩やかに審査するとしています。

大学の場合は、学術の中心として比較的広い知識を授けられる場とされているからです。

一方、専門・専修学校の場合、職業に直接必要な知識を育成する場とされているので、選考内容と職務内容については相当な関連性が必要とされます。

このように、両者学歴のハードルはクリアしたとしても、どのような学校を卒業したかでビザ取得の難易度は異なるのが現状です。

実務経験について

「技術・人文知識・国際業務」の場合、学歴のハードルをクリアできない場合でも、実務経験が一定数あればビザの取得が可能です。

技術・人文知識

技術、人文知識の分野に関しては、10年以上の実務経験があれば要件を満たします。

この10年には、高等学校や専修学校などで対象分野の知識に関する科目を専攻した期間も含みます。

国際業務

国際業務の分野では、3年以上の実務経験があれば要件を満たします。

必要性について

例えば大卒の外国人がホテルで通訳業務に従事することを考えてみましょう。

外国人客の利用が多い、大型の一流ホテルであれば、通訳業務や海外顧客の新規開拓業務として許可され得ます。

しかし、外国人の利用がほとんどないビジネスホテルにおいて、通訳業務や新規顧客開拓業務として許可が下りることは難しいでしょう。

外国人を雇用する必要性に欠けるためです。

報酬について

外国人を雇用する際の報酬は、日本人のそれと同額である必要があります。

日本人と外国人が同じ業務に従事しているにもかかわらず、日本人の月額は25万円、外国人の月額は20万円、という不平等は認められないということです。

業種ごとに給与の水準は当然異なりますが、一般的には東京圏で月額が17万円を下回ると許可の可能性が低くなるといわれています。

【不許可事例】

日本で法学を専攻して大学を卒業した外国人が、月額報酬15万円で旅館のフロントでの外国語を用いた対応業務を行うと申請を行ったが、同時期に採用された日本人スタッフの月額報酬が20万円であることが判明し、不許可とされた。

単純就労について

単純就労とは、要するに現場作業のことです。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、外国人が日本でホワイトカラーの仕事に従事する為の在留資格なので、現場作業に従事することは認められていません。

現場作業の仕事とは、

  • コンビニ・スーパーのレジ打ち
  • 飲食店のホール業務、調理補助
  • 建設現場での作業
  • ホテルのフロント業務
  • 工場での製造ラインの業務

等が該当します。

なお上記のような現場作業に従事するには、配偶者ビザや永住ビザ、定住者ビザなどを有してればOKです。

現場作業に従事するとしても、それが研修の一環であり、あくまでもメインは在留資格の内容に伴う業務を行う場合は例外的に認められることがあります。

以下、単純就労の疑いで不許可になった事例を紹介します。

【不許可事例】

・母国で経済学を専攻して大学を卒業した外国人が、ホテルに採用されるとして在留資格を申請したが、資料を確認したところメイン業務が宿泊客の荷物の運搬・客室の清掃であったため、「技術・人文知識・国際業務」に該当しないとして不許可とされた。

・日本で商学を専攻して大学を卒業した外国人が、新規に設立されたホテルに採用されるとして申請を行ったが、業務内容が駐車誘導、レストランのホール業務であったため「技術・人文知識・国際業務」に該当しないとして不許可とされた。

「技術・人文知識・国際業務」の申請の流れ

申請までの流れを簡単に理解するために、以下の画像をご覧ください

以下詳しく見ていきます。

外国人が就労ビザを取得できる見込みがあるかチェックする

外国人を採用したはいいけど、ビザを取得できなければ元も子もありません。

したがって、まずは採用しようとする外国人がビザを取得できるのかどうかのスクリーニングをする必要があります。

確認する事項としては、

  • 現在の在留資格(日本にいる場合)
  • 犯罪歴(退去強制歴等)
  • 学歴
  • 職務経験
  • 学歴と職務内容の関連性

などが挙げられます。

雇用予定の外国人が、就労ビザの取得見込みがあることを確認してから先に進みましょう。

内定後に雇用契約書を作成する

外国人の採用を決めたら、雇用契約書を作成します。

雇用契約書は、在留資格申請時に必ず必要となる書類です。

なお、現在就労資格を持っていない外国人の雇用契約書には、

この雇用契約は日本で就労可能な在留資格の許可を条件として効力を有する。

というような一文を加えると良いでしょう(停止条件付雇用契約書)。

必要書類を揃え、出入国在留管理局へ申請する

雇用契約書まで作成できたら、その他の必要書類を書類を揃え、管轄の出入国在留管理局へ申請を行います。

海外から外国人を招へいする場合、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

外国人が「留学」等の在留資格をもってすでに日本に在留している場合、「在留資格変更許可申請」を行います。

自社で申請をする際や、外国人本人が申請をするのが大変の場合、ビザ申請の専門家である行政書士に依頼するのもよいでしょう。

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在留資格の取得、就労開始

無事外国人が在留資格を取得できれば、会社の業務に従事することができます。

反対に、4月の入社に在留資格が間に合わなかった場合、在留資格が下りるまでは就労することができないので注意です。

「技術・人文知識・国際業務」の申請に必要な書類

「技術・人文知識・国際業務」の申請に必要な書類は、雇用元会社の規模によって異なってきます。

会社の規模によって以下の4つのカテゴリーに分けられています。

カテゴリ1 1.日本の証券会社に上場している企業

2.保険業を営む相互会社

3.日本又は外国の国・地方公共団体

4.独立行政法人

5.特殊法人・認可法人

6.日本の国・地方公共団体認可の公益法人

7.法人税法別表第1に掲げる公共法人

8.イノベーション創出企業

9.一定の条件を満たす企業

カテゴリ2 1.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

2.在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関(カテゴリー1及び4の機関を除く)

カテゴリ3 1.前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
カテゴリ4 左のいずれにも該当しない団体・個人

カテゴリー1,2は要するに大企業等で、会社として規模も大きく信頼性も高いため、必要書類は大幅に削減されています。

ここでは、実務上申請数が多いカテゴリ3の必要書類を紹介します。

必要書類【カテゴリー3】

【共通書類】

・在留資格認定証明書交付申請書 or 在留資格変更許可申請書

・申請者の証明写真

・返信用封筒(認定証明書の場合)

【会社側が用意する書類】

・登記事項証明書

・定款の写し

・会社案内(パンフレット、HPの写し等)

・直近年度の貸借対照表、損益計算書

・給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

・雇用理由書

・雇用契約書

【外国人本人側が用意する書類】

・パスポートの写し

・在留カード(変更申請の場合)

・大学等の卒業証明書(卒業見込み証明書)

・大学等の成績証明書

・履歴書(学歴・職歴など)

・資格等の合格証(あれば)

カテゴリー1,2に該当する場合でも、上記カテゴリ3で必要とされる書類を揃えて申請すれば、まず間違いはないでしょう。

ただし、ケースによっては追加の資料が必要となる場合があるので、専門家等に確認すると良いと思います。

必要書類についてより詳しく知りたい方は以下のページを参考にしてください。

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自社での申請が難しい場合は専門家へ

今回の記事では就労ビザの一つである「技術・人文知識・国際業務」について解説してきました。

在留資格の申請は慣れていないと相当な時間がかかるため、自社で対応するのが難しいケースもあると思います。

素早く、効率的に外国人を雇用したい方は、行政書士のようなビザの専門家に外注することも視野に入れると良いでしょう。

ビザ部では、就労ビザに関しての相談は無料で受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください!

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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