就労ビザのなかでも代表的なものである「技術・人文知識・国際業務」。
この記事では「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で、レストランや居酒屋などの飲食店で就労が可能かどうか、ビザに詳しい行政書士がわかりやすく解説していきます。
- 技術・人文知識・国際業務で飲食店へ就労することの可否
- 実際許可になった事例
- 飲食店で就労可能な在留資格(ビザ)一覧
目次
「技術・人文知識・国際業務」で飲食店へ就労可能か?
そもそも大前提として、在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本でホワイトカラーの仕事に従事する為の在留資格です。
その点を踏まえたうえで、外国人が飲食店で就労できるかどうかを検証します。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について詳しくは以下の記事をご覧ください。
飲食店での業務
「飲食店で働く!」
と、一口にいっても、その業務内容は下記のようにいろいろあります。
- キッチン
- ホール
- 管理業務・マネジメント
それでは、どの業務であれば在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労できるでしょうか。
結論、
- キッチン → ×
- ホール → ×
- 管理業務・マネジメント → △
となります。
以下では業務ごとに確認していきましょう。
キッチン
お店のメニューにあわせて調理、盛り付けなどを行います。
これらの作業は、入管法の観点からいうと「単純就労」となみされるため、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では就労することは認められていません。
ホール
来店した客の案内、ドリンクや料理の提供などを行います。
この作業も同じく「単純就労」とみなされるため、上記在留資格では就労が認められていません。
管理業務・マネジメント
ここでは「管理業務」を、スタッフの労務管理や安全管理、各店舗のスタッフに対する指導や監督(スーパーバイズ)と定義します。
飲食店の管理業務に従事する場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも就労が認められます。
しかし、ケースによっては難しいこともあるので、以下の章で詳しく見ていきましょう。
管理業務に従事するとして飲食店で働く場合の注意点
上述の通り「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも、飲食店での管理業務として就労することは可能です。
しかし、管理業務として在留資格を申請しても、不許可になってしまうこともあります。
そこで、いくつか注意点がありますので解説します。
- 店舗の大きさ
- 店舗数
- デスクの有無
店舗の大きさ
就労先の店舗が小さい店舗だと、不許可のリスクが高いです。
なぜなら、
「わざわざ管理業務なんて雇う必要ある?」
という疑いが生まれるからです。
確かに、座席が10席しかない店舗に、管理業務だけに従事する人員を1人雇用するということは考えずらいです。
そして入国管理局側は、
「この人、絶対ホール業務や調理業務(単純作業)もやるな」
という疑念を持つのです。
単純就労に従事する場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が許可されることはありません。
したがって、店舗が小さい場合は管理業務としての許可が難しくなります。
(本当に管理業務に従事する場合は、細かいスケジュールまで提出して、その正当性を立証できれば許可がもらえることもあります。)
店舗数
1店舗のみの管理業務より、複数店舗ある場合の方が許可が下りやすいです。
特に各店舗のスーパーバイザーをやるような場合は、3店舗以上でないと、その信ぴょう性が疑われる恐れがあります、
デスクの有無
飲食店で管理業務に従事する場合、個人のデスクは必須です。
例えば、飲食店の客席で営業終わりに作業するような形はNGで、しっかり独立したデスク(作業スペース)があることが重要になってきます。
客席の一部をパーテーションで区切って作業スペースにしている場合などは、独立したデスクがあるとは認められませんので注意してください。
申請の際には、実際に使用するデスクの写真も提出することによって、信ぴょう性を担保すると良いです。
飲食店での許可事例
実際、飲食店の管理業務として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が認められた事例もありますので、ここで紹介します。
申請者の背景
国籍:中国
学歴:日本の専門学校を卒業
職歴:日本の会社で3年間就労経験あり
ーーーーーーーーーーーーー
就労先飲食店
業態:中華料理店
店舗数:3店舗
前年度売上:1億1千万円
従業員数:20名
ーーーーーーーーーーーーー
業務内容
・各店舗の労務管理、安全管理、衛生管理
・各店舗スタッフへの指導、監督、調査
・エリア調査
ーーーーーーーーーーーーー
月給
・月額28万円
【コメント】
このケースでは、飲食店での運営業務やスタッフ指導監督業務に従事するとして、在留資格が認められました。
飲食店で働くとしても、どんな業務に従事するかが非常に重要なポイントです。
まとめ
今回は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で、飲食店への就労が可能かどうかの解説をしてきました。
「技術・人文知識・国際業務」は、本来ホワイトカラーの業務に従事するための在留資格のため、飲食店での就労が認められるハードルは高いですが、決して不可能はありません。
申請が難しそうだと思ったら、ビザに詳しい行政書士に一度無料相談してみるのもよいと思います。