現在留学ビザや就労ビザ等、何らかの在留資格を持って日本にいる外国人が日本人と結婚した場合、
既存のビザ→配偶者ビザ
へ変更申請をすることになります。
今日は出入国いって色々相談して
4月後半には配偶者ビザに変更申請できそう!!— 령하 (@ryon8621) March 24, 2021
本記事ではビザ申請専門の行政書士である筆者が、配偶者ビザへの変更申請について申請者が知るべき情報をまとめて解説していきます。
<この記事が参考になる人>
・現在日本に在留していて、日本人と結婚する予定がある人
・結婚手続きは終わったが、ビザの変更申請まで手が回っていない人
・配偶者ビザへの変更申請の手続きの情報を収集している人
目次
配偶者ビザへの変更申請の概要
配偶者ビザへの変更申請について概要を掴むために、以下に要点をまとめた表を作成しました。
<配偶者ビザへの変更申請>
在留資格 | 日本人の配偶者等 |
対象者 | 日本人の配偶者、日本人の子として出生した者、特別養子 |
申請のタイミング | 日本での活動内容変更(婚姻手続き完了)後、速やかに申請 |
申請要件 | 両国で婚姻手続きが完了していること、その他以下章参照 |
審査期間 | 2週間~1か月(標準処理期間) |
必要書類 | 在留資格変更許可申請書、その他以下ページ参照 |
在留期間 | 6月、1年、3年、5年 |
日本に既に在留している外国人が、別の在留資格でもって日本に在留を希望する為には、出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請を行う必要があります。
変更申請については、
在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がある時に限りこれを許可することができる
とされています。
このように、変更申請は申請をすればあたり前に許可が出るという事はなく、
あくまでも変更申請の許可・不許可は、行政の広い裁量(独自に決済する権限)にゆだねられています。
なお、配偶者ビザの変更申請書の書き方は以下の記事を参考にしてください。
配偶者ビザへの変更申請をする前に確認する事
この記事を読んでいる方は、日本人との結婚に伴って現在の在留資格から配偶者ビザへの変更申請を検討されていると思います。
しかし、そもそも変更申請を検討する前に、配偶者ビザを得るための要件を理解することが重要です。
両国で法的に婚姻手続きを済ませているか
まず確認すべきことは、
●両国で法的に婚姻手続きを済ませているか
という事です。
日本の役所で婚姻届を提出しただけでは両国で法的に婚姻手続きをしたことにならず、配偶者ビザを申請することはできません。
日本で先に婚姻手続きを行う場合、相手国の大使館等へ報告的届出を行うことが必要となります。
どちらの国で先に婚姻手続きを行うか、またお相手の国の大使館によっても手続きが異なってきます。
国際結婚手続きをする際には、婚姻届を提出する日本の役所と相手国の大使館双方に手続方法の詳細を確認した方が良いでしょう。
結婚の信ぴょう性・安定性・継続性を立証できるか
配偶者ビザの審査で重要なポイントとしては、
●結婚の信ぴょう性はあるか
●結婚生活の安定性はあるか
●結婚生活の継続性はあるか
この3つが挙げられます。
そして、上記要件を満たしていることについて、審査官に書類で立証していく必要があります。
従って、
▼婚姻手続きはしたが同居はしていない
▼無職で収入が無い
▼夫婦どちらかに多くの離婚歴がある
上記の様な場合、配偶者ビザの審査は厳しくなり、場合によっては不許可になる恐れも十分にあります。
まずは夫婦が配偶者ビザを申請することができるラインに達しているかどうか、変更申請を行う前に今一度確認しましょう。
個別のケースについての対策等、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
配偶者ビザ変更申請の審査期間
配偶者ビザの審査期間については、出集国在留管理庁が標準処理期間として、ある程度の目安として公表しています。
変更申請の審査期間は2週間~1か月とされています。
とは言っても、この期間はあくまでも目安なので、変更申請の内容によってはこれ以上長引く恐れもあります。
配偶者ビザの審査期間に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
審査期間に関しては、それを短縮する裏技のようなものはありません。
しかし、以下の事項を気を付けることによって、申請から許可までの期間を結果的に短縮することは可能でしょう。
①申請に必要な書類を揃えるまでの期間を短くするように努める
②必要書類を精査し、完璧に揃えて提出する
③万が一、追加の資料提出通知書が来た場合でも、素早く提出要請に応える
しかし、日々忙しい人が上記の様な対応を出来るかと言えば、かなり難しいでしょう。
それでも出来るだけ早く配偶者ビザが欲しいという人は、行政書士等のビザ申請の専門家に依頼するという事も検討してみると良いと思います。
良ければ以下の記事も参考にしてみてください。
配偶者ビザを変更した場合の在留期間
配偶者ビザの在留期間は、6月、1年、3年、5年のいずれかと定められています。
はじめて配偶者ビザでは、多くの場合1年の在留期間で許可が下ります。
その後、更新を行うにつれ、「1年」→「1年」→「3年」といった流れで長期の許可が下りることが多いです。
配偶者ビザの在留期間については以下の記事でより詳しく解説しています。
変更申請をする場合は、この配偶者ビザの
「はじめは1年の許可在留期間しかもらえない」
という特性に注意した方が良いです。
なぜなら、例えば外国人の方が在留期間が5年の就労ビザを持っている場合、配偶者ビザに変更すると在留期間が1年に短縮されてしまうという問題が起こるからです。
結論、5年の就労ビザを持っていて今後も転職や退職をしない場合、あえて配偶者ビザに変更しないという選択肢もあるのですが、この点については以下の章で詳しく解説していきます。
配偶者ビザ変更申請の必要書類
配偶者ビザの変更申請では、外国人配偶者を海外から呼び寄せる際に必要な認定申請と同様に、多くの書類の提出が必要となります。
なお、以下で紹介する書類は、出入国在留管理庁が公表するそれよりも多いです。
しかし、配偶者ビザを本当に手に入れたいなら、入管のHPを参考にするだけでなく、このサイトを是非参考にしてください。
<作成する必要のある書類>
・在留資格変更許可申請書+返信用はがき
・質問書(日本人側の目線で作成)
・理由書
・身元保証書
<日本人側が集める書類>
・戸籍謄本 原本
・住民票 原本
・住民税納税証明書 原本
・住民税課税(非課税)証明書 原本
・預金口座の預金残高が確認できるもの
・源泉徴収票
・在職証明書の原本/雇用契約書
・勤務先の会社案内
・自宅の不動産賃貸契約書の写し/持ち家は不動産登記事項証明書の原本
・自宅の写真
・LINE・skype等の通信記録
・夫婦のスナップ写真
・パスポートのコピー
<外国人配偶者が集める書類>
・申請用の証明写真
・本国から発行された結婚証明書+翻訳文
・住民票(世帯全員記載)
・住民税課税(非課税)証明書
・住民税納税証明書
・預金口座の預金残高が確認できるもの
・履歴書
・最終学歴の卒業証明書/在学証明書
・日本語能力試験の合格証明書の写し 持っている場合
<外国人配偶者が窓口で提示する書類>
・パスポート
・在留カード
<日本人側の状況に応じて必要になる書類>
・確定申告書(個人事業主or給与以外の副収入がある場合)
・会社の登記事項証明書(会社を経営している場合)
・直近3か月分の給与明細(転職して間もない場合)
・直近年度の会社の貸借対照表・損益計算書のコピー(会社を経営している場合)
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法廷調書合計表(会社を経営している場合)
・母子手帳(2人の間の子を妊娠している場合)
・帰任にかかる辞令又は証明書(海外赴任から帰任する場合)
<外国人側の状況に応じて必要になる書類>
・通っていた学校の卒業証明書/退学証明書(留学から変更の場合)
・技能実習の修了証明書(技能実習終了後の変更の場合)
・直近3か月分の給与明細(日本で就労中で転職して間もない場合)
・源泉徴収票(日本で就労している場合)
・前配偶者と離婚を証明する文書(再婚している場合)
<夫婦のみでは生計面に困難がある場合身元保証人が集める書類>
・住民票 原本
・住民税課税証明書 原本
・住民税納税証明書 原本
・在勤証明書 原本
・源泉徴収票
・預金口座の預金残高が確認できるもの
それぞれのケースによって揃えるべき書類は若干異なってきますが、ご覧の通り多くの書類の提出が必要となります。
配偶者ビザ申請の必要書類に関しては、以下の記事でより詳しく解説していますのでご覧ください。
配偶者ビザ変更申請のポイント(CASE別)
配偶者ビザへ変更申請を行う場合、どの在留資格から変更するのかによって申請のポイントが異なってきます。
ここではそれぞれのケースの詳細を見ていきましょう。
留学ビザ→配偶者ビザへの変更
外国人留学生が日本人と結婚する場合、配偶者ビザへ変更申請を行うことができます。
変更申請の期限はなく、在学中に変更申請も可能ですし、卒業のタイミングで変更申請を行うことも可能です。
しかし、以下のようなケースでは配偶者ビザへの変更が難しくなります。
①在学はしているが、欠席が多くほとんど学校に通っていない
②成績、出席状況が良くない状態で中退した
③資格外活動許可無しでアルバイトをしている or 許可はあるが週28時間の上限を超えてアルバイトをしている
①・②のケースの場合
これらのケースの場合、
「学校が嫌になったので結婚して日本で働こうとしているのではないか?」
という疑義を審査官に持たれてしまい、厳しく審査される対象となってしまいます。
このようなケースの申請の対策として、以下の書類があれば提出することが好ましいです。
・学校を欠席している、又は中退した経緯を詳細に説明した経緯説明書
・先生との進路相談した際の内容メモ
・アルバイト先の給与明細(資格外活動時間を遵守している証拠として)
・交際を証明する写真や通信履歴
その他出来るだけ多くの説明書類を提出し、慎重に申請を行う必要があります。
③のケースの場合
資格外活動許可なしでアルバイトをしている場合や、週28時間の制限を超えて働いてしまっている場合、配偶者ビザへの変更はかなり厳しくなるでしょう。
また、その事実を隠して申請を行ったとしても、変更申請の添付書類である課税証明書で発覚することが多いです。
もしもこのケースに該当してしまう場合は、一度母国へ帰国した後、改めて在留資格認定証明書交付申請を行った方がベターです。
就労ビザ→配偶者ビザへの変更
現在就労ビザを持って日本に在留している人の場合、就労ビザ→配偶者ビザへ変更申請をするメリットとデメリットを理解しておいた方が良いでしょう。
<就労→配偶者ビザへ変更するメリット>
・就労に関する制限がなくなる(風俗営業以外)
・退職や転職をしても在留資格は取り消されることが無い
・永住ビザのハードルが下がる
・日本での起業が容易になる
<就労→配偶者ビザへ変更するデメリット>
・在留期間が5年の就労ビザを持っている場合、配偶者ビザへ変更することにより、多くの場合在留期間が1年となってしまう
就労ビザから配偶者ビザへの変更はメリットが多いですが、既に長期の就労ビザを持っている人は、変更申請をするかどうかはよく検討した方が良いかもしれません。
配偶者ビザと就労については以下の記事で詳しく解説しています。
短期ビザ→配偶者ビザへの変更
短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更は原則禁止とされています。
しかし、以下のような場合、例外的に短期滞在から配偶者ビザへ変更をすることができます。
・やむを得ない特別な事情があるとき
・短期滞在中に在留資格認定証明書を取得し、それを持って変更申請を行うとき
やむを得ない特別な事情とは、
・滞在中に出産することになった場合
・病気になってしまった場合(既に結婚はしている前提)
・その他人道的に配慮される特別な事情がある場合
が該当します。
また、実務上短期滞在から配偶者ビザへ変更申請が認められるのは、
付き合っていた外国人の彼女(彼)が短期滞在で日本に来日
↓
日本で結婚を決意+結婚手続きをする
↓
そのまま日本に滞在することを決め、短期滞在から配偶者ビザへ変更申請
というケースが最も多いです。
なお、このようなケースで変更申請の対応をしてもらえるかどうかは管轄の入管窓口でも異なるようです。
令和3年現在、東京出入国在留管理局ではこのようなケースでも申請が受理されます。
短期滞在から配偶者ビザへの変更申請については、以下の記事で詳しく書いています。
技能実習ビザ→配偶者ビザへの変更
技能実習ビザから配偶者ビザへの変更は原則認めらていません。
何故なら、技能実習ビザの目的は、
外国人実習生に日本で技術や知識を身に付けもらい、それらを母国に持ち帰って母国の発展に寄与する人を育てる
事であり、母国に帰国する事を前提とした在留資格だからです。
とは言っても、技能実習ビザから配偶者ビザへの変更は絶対できないかというと、そうではなく、
・外国人実習生が既に妊娠・出産している
など、人道的に配慮すべき理由がある場合は、配偶者ビザへの変更も例外的に認められる場合があります。
しかし、やはり原則は技能実習→配偶者ビザへの変更は不可であり、仮に申請したとしても多くの場合不許可となってしまうでしょう。
従って、技能実習生が日本人と結婚して日本で暮らしたい場合は、技能実習を終了して一度帰国した後、改めて海外から呼び寄せの申請(認定申請)をするのが王道です。
まとめ
本記事では、配偶者ビザの変更申請について、その概要からケースごとの申請のポイントまで、徹底的に解説してきました。
変更申請は更新申請とは異なり、認定申請と同じく多くの書類を提出し、夫婦の配偶者ビザの適格性を証明する必要があります。
場合によっては、審査が難航する場合もあるかもしれません。
自分たちでやるのが難しそうだと感じたら、下記の画像リンクよりビザ申請のプロである行政書士への無料相談をご利用ください。