就労ビザ

転職する外国人に行政書士がアドバイス【技術・人文知識・国際業務】

「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザを持つ外国人が、転職するときに気を付けなければいけないことってなんだかわかりますか?

この記事では転職を考えている外国人に、また、転職してきた外国人を抱える企業の担当者の方に向けて、ビザ申請の専門家である行政書士からアドバイスを贈ります。

この記事でわかること
  • 就労ビザを持つ外国人が転職の際に確認すべきこと
  • 就労資格証明書について

「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人が転職する際に確認すべきこと

現在就労ビザをもって日本で働く外国人の中でも、転職を考える人は多いと思います。

しかし、あくまでも外国人は在留資格(就労ビザ)に基づいて日本に滞在している身です。

何も考えずに自由気ままに転職することにはリスクが伴います。

そこで、外国人が転職の前に確認すべきことについて以下にリストアップしました。

  • 転職先の職務内容について
  • 所属機関に関する届出について
  • 離職して無職になっている期間について

 転職先の職務内容について

転職前と後で、職務内容が変わらない場合は問題になることは少ないでしょう。

しかし、現在は不動産会社で営業の仕事をしているにも関わらず、転職先ではIT会社でエンジニアをやるようなケースは注意が必要です。

現在はあくまで「不動産会社の営業」として在留資格が下りているので、更新時に「IT会社でのエンジニア」が在留資格の条件を満たさないとなると、更新不許可になるリスクがあります。

また、コンビニのレジ打ちや飲食店でのホール業務、ホテルのフロントスタッフなどの単純労働を行うことは完全にNGです。

そもそも「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、単純労働が認められていないからです。

万が一、大幅に職種を変更したり単純労働をしていたことが発覚した場合、更新が不許可になるだけでなく、刑事罰や退去強制されてしまう恐れもあります。

転職後の職種や職務内容は、現在の在留資格にかんがみて慎重に検討しましょう。

所属(契約)機関に関する届出について

転職にあたり今までの会社を退職した場合、「契約機関に関する届出」を提出する必要があります。

こちらの書類、退職先の会社と契約終了の日から14日以内に届け出る必要があります。

届出の方法としては、

という方法があります。

なお、転職して新しい会社へ働き始めた際も、同様に届け出る必要がありますので、忘れずに。

契約機関との契約が終了した場合の届出

新たな契約機関と契約を締結した場合の届出

外国人が退職する際や、新たに働き始める際、雇用主側にも「外国人雇用状況の届出」の提出義務があります。

届出をしないでいると、30万円以下の罰金が科されます。

厚生労働省

離職して無職になっている期間について

転職をしようと前職を退職したが、思うように転職先が見つからず、無職のまま長期間経過してしまうとリスキーです。

具体的には、3月以上無職の期間が続くと在留資格更新時に厳しく審査される恐れがあります。

また、無職の期間中に就職活動をやめてしまうようなことがあれば、在留資格の取り消し事由(入管法第22条の4第1項6号)にも該当してしまうので気を付けましょう。

転職したら「就労資格証明書」を申請しよう

転職をしたらまず、就労資格証明書を申請しましょう。

申請自体は手間ですが、証明書を取得するメリットが大きいです。

就労資格証明書とは

就労資格証明書とは、外国人が行うことができる就労活動について、国が証明した文書です。

就労資格証明書の取得は義務ではなく、あくまでも任意的なものです。

例えば外国人が転職後、今までとは異なった業務内容の仕事をする場合、その業務内容が在留資格の範囲内の活動として認められるかどうかは、更新申請をしてみるまで定かではありません。

万が一、転職先の業務内容が在留資格の範囲外であった場合、また、正当性をうまく立証できなかった場合、外国人の在留資格更新は不許可となり、帰国を余儀なくされます。

また、企業側も(図らずも)不法就労であった外国人を雇用したとして、不法就労助長罪となるリスクもあります。

そこで、そのような外国人と雇用主側の利便を図るために登場するのが「就労資格証明書」です。

この証明書を取得することによって、「外国人が該当する業務に従事すること」について国がお墨付きを与えてくれるというわけです。

そのほかにも就労資格証明書を取得するメリットがあります。

  • 在留資格の更新申請が簡易的になる
  • 万が一就労資格証明書が不交付でも、リカバリーする時間がある etc…

なお、「雇用主は外国人が就労資格証明書を提示しない場合でも、雇用の差別など不利益な扱いをしてはならない」という規定が存在します(入管法19条の2第2項)

在留資格の更新申請が簡易的になる

一度就労資格証明書が交付されれば、更新申請の手続きが簡易的になります。

すでに転職先の職業について国からお墨付きがもらえているからです。

就労資格証明書がない状態で更新申請に臨む場合、立証資料も多く必要となり、審査にも時間がかかります。もちろん不許可のリスクもあるでしょう。

また、行政書士など外部に更新申請を依頼する場合も、就労資格証明書があるか無いかで手数料が異なってきます。

就労資格証明書がある場合の更新と無い場合の更新で、大体5~10万円の差が出ます。

万が一就労資格証明書が不交付でも、リカバリーする時間がある

職務内容が在留資格の範囲外として、就労資格証明書が不交付となった場合でも、在留資格の期限が残っていればリカバリーは可能です。

その場合、在留資格の範囲内である業務を会社側で再度用意するか、残りの在留期間で在留資格にきちんと合致する転職先を改めて探します。

一方、就労資格証明書なしで更新申請をする場合はそうはいきません。

万が一不許可の場合、基本的にやり直しはできず、在留資格が出国準備のための「特定活動」に変更され、せっかく転職が決まった会社での就労活動が一切認められなくなってしまいます。

このように、就労資格証明書は転職する外国人にとってとても役立つツールとなります。

就労資格証明書についてより詳しく知りたいという方は以下の記事を参考にしてみてください。

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在留期限が迫っている場合は更新許可申請しかできない

転職後も在留期限にまだ余裕がある場合、就労資格証明書を取得したほうがメリットが大きいです。

しかし在留資格の満了日が迫っている場合、時間的にも証明書を取得している余裕はなく、在留資格の更新許可申請をすることになります。

この場合更新の手続きの中で、無職期間の正当性や転職先の業務について立証していくことが必要となります。

そもそも、在留資格満了日の迫った転職は更新不許可のリスクもあるため、一度現職で更新申請をした後、転職活動をした方が良いかもしれません。

いずれにせよ、在留資格更新申請は一発勝負となりますので、行政書士などの専門家にも相談したほうが良いと思います。

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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