永住権

【専門家解説】永住許可申請が不許可になるケースとその対応策

これから永住許可申請をする方も、残念ながら不許可になってしまった人も、永住許可申請が不許可になってしまう理由を知ることは大切です。

この記事では、永住許可申請が不許可になるケースの解説や、万が一不許可になってしまった場合の対応策について、ビザの専門家である行政書士が解説していきます。

この記事を読むとわかること
  • 永住許可申請の許可率
  • 永住許可申請が不許可になる理由
  • 不許可通知が来た場合の対応策

永住許可申請の不許可の割合

2019年に永住許可に関するガイドラインの改定がありました。

ガイドラインの改定から永住許可の審査はより厳しくなったといわれています。

以下のグラフは、2010年から2020までの永住申請の許可率をまとめたものです。

グラフを見ると、2017年あたりから永住申請の許可率は50%台に突入しています。

このように、近年は永住申請をする外国人の約半数が不許可処分とされているのが分かります。

永住申請の許否の判断については法務大臣(国)の裁量が大きいため、一定の条件を満たせば必ず許可がもらえるという性質のものではありません。

したがって、

「友達は同じ条件で許可が下りているのに自分はなぜ・・・」

という文句は通用しないのが現状となっています。

日本で永住権を取得するための条件

永住許可申請が不許可になる理由

永住許可申請が不許可になってしまうのには以下のように様々な理由があります。

永住許可申請が不許可になる理由

  • 提出書類に不備がある
  • 社会保険料の未払いや滞納がある
  • 収入が低い
  • 転職して一定期間が経過していない
  • 日本国外への出国が多い
  • 交通違反などの前科前歴がある
  • 家族滞在ビザで日本にいる家族の素行が悪い

提出書類に不備がある

永住許可申請には膨大な書類が必要となります。

住民票や課税証明書など役所から取り寄せる資料に加えて、申請書や理由書など作成が必要となってくる書類もあります。

永住許可の条件を満たしていたとしても、提出書類に不備があると申請が不許可になる場合があります。

具体的な不備としては

  • 文書での説明不足で、審査官の疑念を晴らすことができない
  • 申請内容のつじつまが合っていない
  • 申請内容の立証資料が不足している

などが挙げられます。

この場合、適切な書類を作成して再申請をすれば許可されることが多いです。

永住許可申請の必要書類を専門家が徹底解説

社会保険料の未払いや滞納がある

永住許可のガイドラインの改定に伴って社会保険料に関する審査が厳しくなりました。

会社員として、会社の社会保険に加入している場合は問題になりませんが、自ら国民健康保険や国民年金の支払いをしている場合は注意が必要です。

社会保険料の支払いについて、注意しなければならないのは以下の2点です。

  • 原則2年以上の納付実績があるか
  • 納付期限を守っているか

そして2年間の支払い実績のうち1日でも支払いが遅れた月があれば永住申請は不許可になる恐れがあります。

もしも現在期限通りに支払えていない場合、期限通りに支払いを始めてから最低2年の実績を作ってから申請に臨む必要があります。

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収入が低い

永住許可に必要な年収額は公式に公表されているわけではありません。

しかし実務家の中では一般的に最低年収300万円以上必要と言われています。

また、扶養者が一人につき約70万円の収入が必要とされています。

申請の前年分だけ収入額の基準を超えていれば良いというわけではなく、数年継続して基準を超える必要があります。

現在有している在留資格よって、必要な継続年数が異なります。

【就労系ビザの場合】

5年間連続して年収300万円以上必要

【日本人の配偶者等、永住者配偶者等の場合】

3年間(または1年間)連続して年収300万円以上必要

【高度人材外国人の場合】

3年間(または1年間)連続して年収300万円以上必要

年収がこの基準に達していない場合、不許可になるリスクが高まります。

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転職して一定期間が経過していない

永住許可の審査において、転職することは問題ありません。

しかし、転職した結果年収が大幅に下がってしまうケースや、転職後すぐに永住申請をした場合、不許可となってしまうことがあります。

転職して間もない時期は、いまだ申請者の生活が安定していないと審査官が判断する可能性があるからです。

転職をした場合は、できれば1年間の期間をあけて永住申請を行ったほうが良いでしょう。

日本国外への出国が多い

一般的に永住権を申請できる外国人は、引続き10年以上日本に在留している必要があります。

しかし、年間で100日間以上または1回の出国で3か月以上の出国がある場合、「引続き日本に在留している」とは判断されず、今までの在留年数がリセットされてしまう恐れがあります。

在留年数がリセットされた場合、そこからまた必要年数日本に居ないと永住申請ができないわけですから、シャレになりません。

出張などで長く日本を離れる期間が多い人は特に気を付けましょう。

交通違反などの前科前歴がある

罰金刑以上の判決を受けた場合や刑務所に服役した場合、一定期間が経過するまでは永住許可が下りることはありません。

また交通違反のような軽微なものでも、繰り返し行っている場合不許可になることがあります。

交通違反の場合、約5年で5回以上の違反があると不許可のリスクが上がるといわれています。

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家族滞在ビザで日本にいる家族の素行が悪い

家族滞在ビザで申請者の家族が日本にいる場合、家族の素行にも注意する必要があります。

無資格就労やオーバーワーク

家族滞在ビザを持つ外国人の就労は原則認められていません。

したがって、家族が働きたい場合は「資格外活動許可」を取得する必要があります。

万が一資格外活動許可を受けずに働いている場合や、資格外活動許可で認められた上限時間以上働いていることが発覚した場合、永住許可申請は不許可となります。

家族滞在者のオーバーワーク等が発覚した場合、家族の監督義務違反として、本体者の永住申請も不許可となりえます。

日常的な素行

普段の素行にも注意が必要です。

例えば、交通違反や万引きなどの軽犯罪などを常習的に行っている場合、永住審査の際に問題となりえます。

家族滞在者の素行の悪さの責任を取るのは本体者です。

家族滞在の外国人が永住権を取得する為に知るべきこと

 

出入国在留管理庁は、日本への貢献による永住申請の不許可事例を公開しています。

データは平成18年のものと古く、ケースも限定的ですが、参考までに一例を載せておきます。

詳しくは出入国在留管理庁のHPからどうぞ。

永住許可申請が不許可になったら

永住許可申請を行って不許可になった場合、以下のような流れになります。

不許可通知が届くとがっかりする気持ちは分かりますが、そこで試合終了ではありません。

出入国在留管理局へ不許可の理由を聞きに行く

不許可通知が届いたら、出入国在留管理局の永住審査窓口へ不許可の理由を聞きに行きます。

担当審査官から理由を聞ける機会は一度しかないため、何故不許可になってしまったのか、正確にヒアリングする必要があります。

ただし、担当官からすべてを親切に教えてくれるということは望めませんので、こちらからあらかじめ質問すべき点を整理して臨むと良いでしょう。

自分で一人で行くのが不安という方は、不許可理由の説明にビザ専門の行政書士を同行させるという手もあります。

専門家が同行したほうが、不許可の理由をより正確にヒアリングできるため、再申請に向けて準備がしやすくなるといったメリットがあります。

不許可になった理由をリカバリーして再申請を行う

不許可になってしまった理由が分かったら、その理由をリカバリーしてから再申請を行います。

提出書類の不備や立証資料の不足であれば、すぐに再申請の準備が可能です。

一方不許可の理由によっては、一定期間不許可理由のリカバリーをしてから改めて再申請をすることになります。

再申請には制限がありませんので、不許可になったとしても感覚を空けずに再申請をすることが可能です。

永住許可申請が自力ではムズカシイと感じたら

この記事を読んでもわかる通り、永住許可の審査は約半数の申請者が不許可となる厳しいものです。

自力で頑張って申請をしたとしても、不許可になってしまうことはあるでしょう。

場合によっては何度も自分で挑戦して、結果うまくいかなかったケースもあります。

無駄に労力をかけて時間を無駄にする前に、是非一度行政書士のような専門家に相談してみてください。

うまく許可に持っていける可能性があるかもしれません。

時は金なり。

相談料は無料です。

ABOUT ME
編集長 TAKAO
ビザ部を運営する編集長、現役行政書士。 日々多く業務をこなしながら、専門家としての知識を活かし、日本のビザに関する様々なお役立ち情報を発信している。ビザ関係の記事はすべて自ら執筆。

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