「長年海外に在住していたけど、この度日本に夫婦で帰国することになった。ところで、配偶者ビザってどうやって申請するんですか?」
このような質問は筆者の事務所にも多く寄せられます。
私が配偶者ビザ申請しながら感じた疑問がこんな感じだったかな?
◆ビザ審査の日数は申請した時期と場所と書類の書き方で違う?
◆海外在住でもビザ申請可能?
◆海外在住の場合の保証人は?
◆ビザ審査に大きな影響を及ぼす収入について
◆質問書の中にある「結婚までの経緯」の書き方は?— トミヨ|外国人夫と田舎暮らし (@inakalog_tomiyo) April 8, 2019
一般的に、配偶者ビザの申請は日本人配偶者が日本にいる場合に行います。
夫婦で海外に居住しながら申請をするのはイレギュラーな為に分からないことが多いと思います。
<この記事が参考になる人>
・日本に帰国する予定のある海外在住の夫婦
・日本に帰国する予定のある海外在住の夫婦の親族の人
・配偶者ビザについてより詳しく知りたい人
目次
配偶者ビザを取得したい海外在住の夫婦がまず確認すべき事
海外在住の夫婦が日本の配偶者ビザを検討する際に、まず一度確認してほしいことがあります。
①両国で法的に婚姻手続きを行っているか
②配偶者ビザを取得した後、本当に日本に帰国・居住する予定があるか
上記2点です。
①両国で法的に婚姻手続きを行っているか
日本で配偶者ビザを申請する為には、両国で法的な婚姻手続きを済ませていることが必要となります。
婚姻制度や在留管理制度は国によってかなり異なりますので、相手国では婚姻手続きを済ませたが、日本の手続きはしていない場合、配偶者ビザの申請をすることはできません。
まずは両国で法的な婚姻手続きを済ませているかどうかを確認しましょう。
②配偶者ビザを取得した後、本当に日本に帰国・居住する予定があるか
海外在住の夫婦で日本の配偶者ビザを申請される方の中には、居住国の政情が不安な場合などで、万が一のために配偶者ビザを申請しておこうとされる方がいます。
しかし、実際に日本に居住する予定が無いと配偶者ビザは許可されません。
海外在住の夫婦が配偶者ビザを取得できる3つのパターン
海外から日本に帰国する理由は様々です。
・長年海外で暮らしていたが、定年退職後は日本で暮らそうと計画している
・海外赴任をしていたが、勤務先より帰任命令があった
・高齢になる両親の面倒を見ることになった
日本人配偶者が日本にいれば、問題なく配偶者ビザの申請をすることが可能ですが、夫婦で海外に在住している場合、一般的なアプローチとは別の方法を取ります。
以下、海外在住の夫婦が配偶者ビザを取得する3つの方法を紹介します。
①日本にいる親族の方が申請代理人として配偶者ビザを申請。許可取得後、夫婦で来日する
海外在住のご夫婦にはこの方法が一番負担が少なく、オススメです。
何故なら、夫婦ともに日本に一度も帰国することなく配偶者ビザを取得することができるからです。
しかし、あくまでも親族の方に代理人となってもらい申請をするので、親族の方に協力してもらえることが大前提となります。
詳細は以下で解説します。
②日本人配偶者が先に日本に帰国し、配偶者ビザ申請を行う。許可後、外国人配偶者は単独で来日
次に、日本人配偶者が先に帰国するパターンもあります。
この場合、
①日本人配偶者が先に帰国
↓
②住民票登録(新居の手続き)、就職活動など
↓(申請準備に約1~2ヵ月
③書類を揃え、配偶者ビザ申請(在留資格認定証明書交付申請)
↓(審査に約1~3か月
④認定証を海外に発送
↓
⑤外国人配偶者は認定証を用いてビザ(査証)を取得し、日本に単独来日
という流れで配偶者ビザを取得していきます。
上の表をご覧の通り、帰国から申請準備、そして審査期間も含めると相当な期間が必要です。
日本に帰国してから最低2~4か月程は夫婦離ればなれになるので、色々不都合も出てくるでしょう。
特にこの方法で問題が無い方は、これもありだと思います。
③夫婦で来日、外国人配偶者は短期滞在→配偶者ビザへ変更申請を行う
外国人配偶者は短期滞在ビザで来日し、その後配偶者ビザへ変更することも実務上可能です。
しかし、原則は短期滞在から配偶者ビザへの変更申請は認められておらず、通常の申請より難易度が上がるので、3つの方法の中では優先順位は最も低いです。
まずは上記の①、②を検討して、それでもダメそうな場合はこの方法もありです。
この場合は申請の難易度が上がるため、より時間を節約し、許可の確立を上げたければビザ申請専門の行政書士に依頼することをオススメします。
短期滞在から配偶者ビザへの変更については以下の記事で詳しく解説していますので、良かったら参考にしてください。
親族が申請代理人となり、配偶者ビザを申請する方法
ここでは上の①~③の中でも海外在住の夫婦に一番負担の少ない、日本にいる親族に協力してもらい、配偶者ビザ申請をする方法について解説していきます。
まずは申請の流れを見ていきましょう。
(1)親族に申請の協力を要請する
↓
(2a)海外在住の夫婦 必要書類の収集・作成
(2b)日本在住の親族 必要書類の収集・署名
↓
(3)海外在住の夫婦が収集・作成した書類は日本の親族の元に郵送
↓
(4)すべての書類をもって、日本在住の親族が管轄の出入国在留管理局へ申請
↓
(5)発行された在留資格認定証明書を海外に送付
↓
(6)認定書をもって在外大使館・領事館に査証申請
↓
(7)査証交付後、夫婦で来日
それでは順に解説していきます。
(1)親族に申請の協力を要請する
まずは申請に協力してくれる親族を検討しましょう。
配偶者ビザの申請代理人となることのできる親族の幅は広いです。
親兄弟やおじさんおばさん等、申請に協力してくれる人を探しましょう。
また、海外在住の夫婦が日本に帰国する場合、帰国直後は仕事や居住場所が無いことが多いです。
その際は親族の方に身元保証人になってもらう必要もあります。
その点も含めて、協力をお願いできれば良いです。
(2a)海外在住夫婦の必要書類
協力してくれる親族を見つけたら、早速申請に必要な以下の書類を収集・作成していきます。
<海外在住の夫婦が作成・収集する必要書類>
・申請理由書
・外国で発行された結婚証明書+翻訳文
・外国人配偶者の証明写真(縦4cm×横3㎝)
・預金残高が確認できるもの
・外国人配偶者のパスポート写し
・夫婦のスナップ写真(10枚以上が理想)
・LINE、Whatsapp等の通信記録の写し
・帰任に掛かる辞令または証明書(海外赴任の場合)
また、ケースによってはその他提出した方が良い書類もありますので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
また、各必要書類については当サイトの記事でそれぞれ書き方を解説していますので、それぞれの記事を参考にしてください。
在留資格認定証明書交付申請書の書き方↓
質問書の書き方↓
申請理由書の書き方↓
身元保証書の書き方↓
(2b)日本在住親族の必要書類
日本在住の親族の方にも書類収集をしてもらう必要があります。以下、必要書類になります。
<日本在住の親族が収集する書類>
・住民票
・戸籍謄本(日本人配偶者・親族協力者の名義でそれぞれ取得)
・課税証明書
・納税証明書
・預金残高が確認できるもの
・在職証明書(会社員の場合)
・確定申告書の写し(個人事業主の場合)
・登記事項証明書等(会社役員の場合)
・賃貸契約書 or 登記事項証明書(持ち家の場合)
・身元保証書(要署名)
・404円の切手を貼付した返信用封筒
(3)海外在住の夫婦が作成した書類は日本の親族の元へ送付
海外在住の夫婦は、必要書類の収集・作成が終わったら、EMS等の国際郵便で親族の元へ発送します。
出来るだけ早く日本に帰国したい場合は、早めに書類収集と作成に取り掛かり、さっさと日本へ発送するように努めましょう。
(4)すべての書類が揃ったら、親族が管轄の出入国在留管理局へ申請書を提出
海外から必要書類が送られてきたら、書類不足が無いか確認し、問題が無ければ管轄の出集国在留管理局に申請します。
管轄は以下のリンクから確認できます。
(5)~(7)在留資格認定証明書発行~査証発行→来日
配偶者ビザの許可が無事下りた後は在留資格認定証明書が交付されるので、それを海外在住の夫婦に送ります。
外国人配偶者はそれをもって在外日本大使館または領事館に出向き、ビザ(査証)申請を行います。
査証が発行されたらそれをもって日本に入国することができます。
海外在住の夫婦が日本国内の業者に依頼する場合
海外在住のご夫婦で親族のどなたかに協力者を見つけたとしても、その協力者が高齢の場合や多忙な場合、実際問題なかなか申請が難しかったり、申請まで長い時間ががかってしまう事もあるでしょう。
そこで活用したいのが、行政書士等のビザ申請の専門家です。
良い業者を見つけた場合、申請までの時間短縮ができるので、結果早く来日することが可能です。
また、申請書作成や協力者に多くの書類の収集をさせる手間等、あらゆる「めんどくさい」を削減することができます。
海外から行政書士に申請代行を依頼する際は、以下のポイントに注意して業者選びを行うようにしましょう。
<業者選びで注意するポイント>
・その行政書士は(配偶者)ビザ申請に詳しいか
・ZoomやLINEなど、様々な手段で連絡可能か
・時差の問題があるが、レスポンスは早いか
・コミニュケーション能力があるか(無料相談をして判断)
これらの事項は、実際に問い合わせてみて、無料相談などを通じて判断するようにしましょう。